国際司法裁判所、ロシアに対してウクライナ侵攻停止命令
国際司法裁判所(ICJ)は16日、ロシアのウクライナ侵攻に関する審理(ウクライナ対ロシア事件)を開き、ロシアに対して、ウクライナへの侵攻を即時停止するよう命令する暫定措置を決定した。
ウクルインフォルムのハーグ特派員が伝えた。
ICJは、ロシアは攻撃を停止し、軍を撤退させなければならないと命じる決定を採択した。ジョアン・E.ドノヒュー裁判官は、「裁判所は、ロシアに対して、次の暫定措置の履行を命じる。2022年2月24日にウクライナ領で始められた軍事作戦の速やかな停止である」と発言した。
裁判所はまた、ジェノサイド条約の解釈に関する本件の自らの管轄権を認めた。
裁判所はまた、ウクライナ領でジェノサイドが生じているというロシアの主張が確認できる証拠は一切ないと指摘した。
ウクライナのゼレンシキー大統領は、ツイッター・アカウントにて同決定につき、「ウクライナは、ICJにおける対ロシア事件にて完全な勝利を収めた。裁判所は、ロシアに対して、ウクライナの侵攻を即時停止するよう命令。命令は、国際法に従い、ロシアは必ず履行しなければいけないものである。判決を無視すれば、ロシアはさらに孤立へと入り込むことになる」と書き込んだ。
ウクライナのクレーバ外相は、フェイスブック・アカウントにて、「先ほど、ウクライナの提訴により、ICJがロシア連邦に対して、ウクライナの軍事作戦を即時停止するよう命じた。また裁判所は、ロシア軍と同国が支持する非正規軍のウクライナ領のあらゆる移動の停止も命じた。それは、ウクライナが要求していたものそのものだ。私たちは、要請したもの全てを得た」と書き込んだ。
同氏はまた、判決は重要であるとし、なぜなら、司法の最高レベルでロシアの侵攻の事実が確認され、ロシアの無根拠な侵略が停止されねばならないことが認められたからだと指摘した。また、13人の裁判官が決定を支持し、2人の裁判官(ロシア・中国)のみが反対したと伝えた。
さらに同氏は、ICJの判決は国際法規範上法的拘束力を持つとし、それはロシアの侵略のその他の法的・政治的評価にとっての基準点となると説明した。
同氏は、「ウクライナはここで勝利したのであり、ロシアに対して、速やかに命令を履行して、侵略を停止するよう要求する。国際司法上の責任は時間がかかり、事件の審理は今後継続するが、ロシアの責任は不可避である」と強調した。
同氏はまた、審理の最終段階には、賠償問題が決められることとなるとし、ウクライナが勝訴し、ロシアが賠償金を支払うことになることに疑いはないと強調した。
なお、ウクライナでは、2月24日から、ロシア軍による侵略が始まった。侵略開始から3日目、ウクライナは、ICJに、ロシアを相手に提訴を行い、ジェノサイドの概念の歪曲による侵略国の責任追及を要求していた。これは、ロシアがウクライナへの侵攻を正当化するために、ウクライナがドネツィク・ルハンシク両州にてジェノサイドを行ってきたとし、「ロシアは軍事力を行使せざるを得なかった」と主張したためである。ICJは、この事件の審理にて、ウクライナにてジェノサイドが行われていたかどうかを判断することになる。