ウクライナ政権関係者、マリウポリ工場からの民間人避難作戦についてコメント
1日、国連と国際赤十字委員会(ICRC)の支援を受けて、ウクライナ東部マリウポリの製鉄工場「アゾフスタリ」からの民間人100人強の避難作戦が始まったことにつき、ウクライナ政権関係者などが歓迎のコメントを出している。
ゼレンシキー大統領は、ツイッターでのコメントの他、同日夜の動画メッセージでも言及した。ゼレンシキー氏は、「今日、私たちは、アゾフスタリからの避難をようやく開始できた。何週間もの協議、多くの試み、様々な会合、人々、電話、国、提案を経て、ようやくだ…。人々の救出を確実とする解決策を見つける試みを止めたことは、1日たりとてなかった。今日、戦争が始まってから初めて、この真に不可欠な回廊が機能した。その地では停戦が2日間続いている。戦闘から救われた100名以上の民間人、女性、子供たちを救出することができた。アゾフスタリの人々だ」と発言した。
さらに同氏は、あらゆる困難を考慮すると、最初の避難者たちは、明朝にはザポリッジャに到着するだろうと発言し、明日、マリウポリからの人々の救出継続のためのあらゆる必要な条件が遵守されることへの期待を述べた。同氏は、明日の避難は朝8時に始まる予定だと伝えた。
ゼレンシキー氏は、救出への準備とと人道回廊確保に関わっている全ての人に謝意を伝えた。
そして、同氏は、「今後も、アゾフスタリとマリウポリ全体の人々を避難させるべくあらゆることを行っていく。そのような人道回廊の組織は、現在も続く協議プロセスの要素の一つである。協議は非常に困難だが、それでもどんなに困難であっても、35万人以上の人々を戦闘圏から救うことができたのだ」と発言した。
また、ウクライナ・ロシア和平協議に参加するアラハミヤ最高会議(国会)与党「人民奉仕者党」会派長は、アゾフ連隊が撮影したとする、アゾフスタリの瓦礫から民間人が避難を始める様子が映された動画を公開した。
アラハミヤ氏は、「作業の極めて重要な部分を、デニス・プロコレンコ(アゾフ連隊隊長)とアゾフ連隊、国防省情報総局、一時的被占領地再統合省とイリーナ・ヴェレシチューク氏(同省大臣)が実行した。国連とICRCのサポートに感謝する」と書き込んだ。
同日、ロイター通信は、国際連合人道問題調整事務所(OCHA)が1日、アゾフスタリからの民間人避難について認めたことを報じた。
OCHAのアブレウ代表は、マリウポリのアゾフスタリ工場からの民間人の「安全な通行作戦」を行っていると発言した。また同氏は、今回の作戦は4月29日に始まったものであり、ICRCとウクライナとロシアが調整しているものだと指摘した。
同氏はさらに、3者の代表者が4月30日朝に工場に到着したと述べつつ、避難者が危険にさらされる可能性があるとして、作戦の詳細については説明しなかった。
ウクライナ外務省は、ツイッター・アカウントにて、今回の作戦を歓迎するコメントを掲載した。外務省は、「製鉄コンビナート『アゾフスタリ』からウクライナ政府管理地域への民間人避難の開始を歓迎する。それはウクライナのゼレンシキー政権幹部、アントニオ・グテーレス国連事務総長、ペーター・マウラーICRC総裁の努力のおかげで実現可能となったものだ」と伝えた。
外務省はさらに、避難は民間人が通常の生活を回復させ、適切な治療を受けることを可能とするものだと指摘し、「ウクライナは、これらの人々が戦争の凄惨さを忘れられるよう、ありとあらゆる可能なことを行う」と強調した。
同時にコメントには、まだ多くの人が避難を待っているのであり、さらに多くのことをしなければならないと書かれている。とりわけ外務省は、アゾフスタリには、まだウクライナの負傷した軍人が何百人も残されていることに注意を向け、「彼らの命を救うために緊急の支援が必要だ。私たちは、国際人道法に従って、負傷したウクライナ軍人の緊急避難を要求する」と強調した。
マリウポリ市議会は、テレグラム・チャンネルにて、1日のアゾフスタリ工場からの民間人避難のために、マリウポリ市その他の地区の住民の避難は2日に延期されたと発表した。市議会は、2日の避難は、朝8時マリウポリ市の大型商業施設「ポルト・シティ」前にて避難者集合が行われると伝えた。
なお、マリウポリのアゾフスタリ敷地内には、約1000人の民間人と軍人が滞在しており、その内約600名は負傷兵だと伝えられている。
これに先立ち、4月30日、マリウポリ防衛戦に参加する国家警護隊アゾフ連隊は、同氏製鉄工場「アゾフスタリ」から20人の民間人を避難させたと発表していた。
また、4月28日、グテーレス国連事務総長は28日、キーウ(キエフ)訪問時に、国連はマリウポリの民間人救出のために、できることは全て行うと発言していた。同日、ルビアニ駐ウクライナ国連調整官がグテーレス氏の指示を受けて、マリウポリからの避難の準備のためにザポリッジャに向かっていた。