「北朝鮮の軍事パレードのものと似たミサイル」 ウクライナ検察、1月2日のハルキウ攻撃のミサイル破片を公開
ウクライナ東部ハルキウでは、1月2日にロシア軍が同市の攻撃に使ったミサイルの分析が進められている。同ミサイルは北朝鮮からロシアに提供されたものである可能性が指摘されている。外観は、イスカンデルに似ているが、しかし、いくつかの技術的な差異もある。また、専門家は、そのミサイルは組み立ての質があまり良くないと指摘している。
6日、チュベンコ・ハルキウ州検察報道官が12月29日から1月2日にかけてハルキウの攻撃に使われたミサイルの破片を公開した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
その中には、市の中心部の自由広場近くに着弾したミサイルも含まれている。
チュベンコ検察報道官は、「攻撃の際、ミサイルから残されたのは非常に大きな部分で、その中には後部もあり、そこを見るとお分かりだろうが、それは非典型的な『イスカンデル』ミサイルなのだ。どのようなミサイルだったのか、全く同じものだったのか、違うのかは、今は述べることはできない。なぜなら、別の着弾時の細かい部分も残っており、イスカンデルなのか、非常に似たミサイルなのか、区別できなくなっているからだ。調査が続いている」と発言した。
同時にチュベンコ氏は、ロシア軍がハルキウ州を攻撃する時に使ったミサイルの製造元を隠そうとする事例はこれまでは確認されていないと指摘した。
そして同氏は、「一部部品の番号を消そうとする試みは、このミサイルの情報を隠したがっていることを示している。さらに、内部装置を見るとわかるが、内部の刻印があまり整然としておらず、無造作に刻まれている。通常このようなミサイルは、ソ連でもロシアでも、刻印は非常に整然としており、非常に丁寧に作られ、時には誰が何を作ったのかという責任者を明らかにするために工場の職員の名字まで記されている。ここにはそういったものがないのだ。そして、ここにある刻印、数字、略号は色々な種類のものだ」と発言した。
ハルキウで公開された1月2日の同市攻撃に使われたミサイルの破片 写真:ヴヤチェスラウ・マジイェウシキー/ウクルインフォルム
そして同氏は、専門家たちは質だけでなく、技術的な差異も見つけたと指摘する。同氏は「このミサイルは、『イスカンデル』より少し大きいのだ。ちょうど直径で10ミリだ。内部も違う。イスカンデルでは、電子戦対策や特別な制御があるため、電気配線で巻かれている。ここには、それがない。ここでは電気配線が中に入れてあるだけだ」と説明した。
別の技術的違いもあるという。しかし、専門家たちは、これが北朝鮮製だと確実に言うことはできないという。検察は、ロシアがミサイルを雑に製造し始めたのかもしれないし、あるいは別の国で製造されたミサイルなのかもしれないと予想している。
チュベンコ氏は、「インターネット上にあるその情報や、北朝鮮のパレードの写真、そのミサイルのノズルや後部は、非常に似ている。そして、確かに、北朝鮮のミサイルは、イスカンデルをベースに作られていた。まさにそのために、私たちは、それが北朝鮮に提供されたミサイルかもしれないという案に傾いている。しかし、これが北朝鮮か何らかの別の国が提供した物だと肯定するための直接的な証拠は、今はないことを指摘したい」と発言した。
これに先立ち、4日、米国のカービー・ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)戦略広報調整官は、ロシアがウクライナに対し北朝鮮から供与された弾道ミサイルと発射装置を使用しているとの見方を示していた。
また、米ウォールストリートジャーナルは、ロシア連邦はイランから短射程弾道ミサイルの購入計画を積極的に進めているとし、北朝鮮からは数十発の弾道ミサイルと発射装置を受け取っているとする米政府関係者の発言を報じていた。
訂正(1月7日19時48分):ワイヤー→電気配線