ウクライナ軍総司令官顧問、米国によるクラスター弾供与決定の決め手を説明

ウクライナ軍総司令官の顧問を務めている米国籍のダン・ライス氏は、米国は2022年を通じてウクライナ軍に対するクラスター弾供与を真剣に検討してこなかったと指摘した。

ライス氏がウクルインフォルムへのインタビュー時に発言した(リンク先はウクライナ語)。

ライス氏は、「私たちは米国で、幸運なことに、焼夷榴弾を使う大きな戦争は一度も計画したことがなかったし、そのため私たちのところ(編集注:米国)にはもうそれほど残っていなかった。しかし、現在この戦争が長引いたことにより、低出力弾が私たちのところで尽きつつある。それが政治家に影響をもたらして、私たちの主張に同意させることになったのだ。主張とは、私たちのところでは高火力弾が尽きつつあり、私たちがDPICMを提供しなければ、ウクライナには火砲砲弾がなくなってしまい、結果破滅するというものだ。それが政治家たちに、クラスター弾に同意させることになったのだ」と発言した。

同時に同氏は、当初は類似の弾薬の話は議題にはなかったと指摘し、「それは多大な効果を出すが、少し時代遅れの武器なのだ。そのため、その武器を推進するロビイストはいなかった。1990年代に製造されたDPICMを100万弾送っても、誰も儲からない。私は、本件が注目を集めるようになるまでの最初の6か月間、本件につき話していた唯一の人物だ。そして、2023年3月になってようやく注目されるようになったわけだ」と指摘した。

そして同氏は、自身は米国の軍人、議員、防衛産業の重要人物、メディア代表者と会い、説明をして回ったと伝えた。同氏は、「米下院外交委員会のマイケル・マッコール議長は、3月に私たちの大統領に書簡を送ることで、非常に助けになった」と伝えた。

他方で、同氏は、転機となったのは、デヴィッド・ペトレイアス元CIA長官が2023年6月初頭にキーウを訪れた際に公にクラスター弾供与の支持を表明したことだと指摘した。同氏は、ペトレイアス氏の支持が人々を説得し、米国の中堅政治家の支持を得るのに役だったとし、「こうして、彼の演説の直後に、クラスター弾に関する決定が両党と大統領によって承認されたのだ」と説明した。

なお、ライス氏は、今年冬のウクルインフォルムへのインタビュー時にも、ロシア軍がウクライナ軍に数で勝る中、クラスター爆弾(DPICM)はウクライナ軍にとっての合法的な武器であり、西側パートナー諸国はクラスター爆弾の提供を遅らせるべきではないと主張していた