ゼレンシキー宇大統領、一部のウクライナ領のみでNATOに加盟する案につき否定な発言
ウクライナのゼレンシキー大統領は19日、ウクライナのための安全の保証に関して、ウクライナは友好国に自らのビジョンを伝えなければならないと発言した。
ゼレンシキー大統領が一年を総括する大型記者会見の際に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
ゼレンシキー氏は、「安全の保証について。プロセスは進んでいる。私が期待していたよりは、少し緩慢だ。私たちは今日、安全の保証に関して私たちのチームと会い、その決定を近づける手段につき協議した。多くのことが私たちにかかっている。私たちはパートナーたちをよく非難しているが、しかし、公正であるべきであり、多くのことが私たちにもかかっているのだ。国防省、参謀本部のプラットフォームにおける軍事要素だが、詳細は言わない。私たちは、パートナーたちに私たちのビジョンを伝えなければならないし、それが安全の保証にとっての非常に真剣な核心となる。(中略)私たちはまだ、それを伝えていない」と発言した。
また同氏は、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟問題に関しては、ウクライナにとってその加盟が最も強力な案ではあるが、ウクライナはNATOにまだ招待されていないと指摘した。その際同氏は、ウクライナ領の一部のみがNATOに加盟するというシグナルについては、真剣に検討できるものではないと発言した。
同氏は、一部領土でのNATO加盟案につき、「私たちは、そのような提案を一度も受け取っていない。いずれのパートナーからも一度も受け取っていない。それがどのようなものとなり得るかは、想像し難い。モスクワの人間が『特別軍事作戦』の目的は変わっていないと述べるのなら、それはその人間が平和を欲していないというシグナルなのだ(編集注:プーチン露大統領の14日の記者会見時の発言を指す)。(中略)ウクライナの一部がNATOに入ったとしたら、どうなるか想像してみようではないか。私は、それは私たちにとって高いリスクだと思っている。私は、ウクライナの一部がNATOに入ったら、その場合NATO加盟国がNATO内で何らかの地位を有すことになったウクライナの領土の一部のために戦うのか、という問題が生じると確信している。不完全ながら、何らかの地位だ。というのも、私たちは、ロシアに占領されている領土を(編集注:ロシア領とは)認めないからだ。それでは、私たちが完全にはNATOに入っていないことになる。つまり、私たちの(領土の)一部が何らかの形で何らかの地位で安全保障同盟の中に入ろうと、私たちは(別の領土の)一部をロシアと認めることはない」と強調した。
その他同氏は、英国との間で安全の保証に関する議論が続いているとし、そこには海の要素が入っていると指摘した。
これに先立ち、11月、ラスムセン前北大西洋条約機構(NATO)事務総長はが、ウクライナを、ロシアに一時的に占領されている領土以外で、NATOに加盟させる案への支持を表明していた。
同時に、11月にウクライナで実施された世論調査では、半数以上のウクライナ国民(53%)が被占領地を除いた、政府管理地域だけで北大西洋条約機構(NATO)に加盟するという案を受け入れられないと答える結果が出ている。