EU、欧州での情報工作はゼレンシキー宇大統領とマクロン仏大統領を対象とした攻撃が多いと報告
欧州連合(EU)のボレル上級代表は、欧州では過去1年でゼレンシキー宇大統領とマクロン仏大統領を対象とした情報面の攻撃が最も多く確認されたと報告した。
ボレルEU上級代表がブリュッセルにて欧州対外行動局作成の第2回「外国からの情報操作・干渉(FIMI)の脅威に関する報告書」のプレゼンテーションの際に発言した。
ボレル氏は、「私たちは2回目の年次報告を公開した。同報告は750件の事例の調査と対策方策の分析を元にした現存の脅威の性格に光を当てている。ご覧の通り、(編集注:その攻撃は)様々な人物を対象としている。その攻撃の大半が対象としている人物の1人がヴォロディーミル・ゼレンシキー宇大統領であり、もう1人がエマニュエル・マクロン仏大統領だ」と発言した。
また同氏は、報告によれば、ウクライナは最も頻繁に国外からの意図的な偽情報作戦の標的となっている国であり続けていると指摘した。同氏は、「それは偶然ではない。なぜなら、偽情報の背後にいる者が誰かはわかっているからだ。古典的戦闘手段を使ってウクライナに対する戦争を遂行している何者かである」と補足した。
同時に同氏は、ウクライナ国民はこの戦いにおいて以前より強靭になっており、社会は活発に偽情報と闘っていると伝えた。そして、同氏は、EUはウクライナにその分野でEUの外政手段、対外行動局、欧州委員会の能力を利用した支援を提供していると指摘した。
その際同氏は、ウクライナに対して、あたかも同国が一時的被占領下にあるウクライナ東部ドネツィクで化学兵器を使った事件を引き起こしたとする非難の存在に言及した。そして同氏は、その偽情報はソーシャルメディアのユーザーたちによって、使われた写真が記述時期よりもはるかに前に撮影されたものであることが暴かれていると伝えた。一方で同氏は、その偽情報はロシアのメディアが拾い上げ、ドネツィクにてウクライナが化学兵器を使った可能性があると人々に信じさせようとしていたとも指摘した。そして同氏は、大量破壊兵器を保有する主体(ロシア)によるこのようなウクライナに対する非難が拡散されるのは、その件が初めてではないと喚起した。
同氏は、「4年前、私が職務を遂行し始めた際、ロシアやその他の国は嘘(の拡散)、(印象)操作、不安定化のための活発なインフラを構築しており、産業的規模でそれを巧みに実行していた。(中略)そして、ロシアの対ウクライナ侵攻が始まると、それは戦争の全面的手段となった。故に、拡散する前に否定しなければいけない情報操作の拡散を防ぐためには、迅速に行動することが非常に重要だ」と発言した。
外国からの情報操作への効果的対策として、同氏は、グローバルなレベルで努力を統合することが必要だとし、EUはカナダの支援を得てG7のパートナーたちの努力を調整しており、またNATOとも積極的に連携しているとし、この分野で米国との協力プログラムもあると伝えた。同氏は、この活動は市民、国家機関、ジャーナリストが偽情報を迅速に特定し、否定する上で支援することを目的としていると伝えた。