サイディックOSCE特別代表、ミンスク諸合意の代わりとなるウクライナ東部和平計画案を説明
新しいドンバス紛争解決和平計画は、ミンスク諸合意の代わりとなるべきものであり、「ノルマンディ・フォーマット」参加国により採択されなければならない。
同計画の執筆者の一人である、マーティン・サイディック三者コンタクト・グループ(TCG)欧州安全保障協力機構(OSCE)特別代表が、オーストリアのKleine Zeitung紙へのインタビューで発言した。
同計画には、国連とOSCEの共同ミッション(軍事部隊、警察部隊、ドネツィク・ルハンシク一部地域の国際統治機構の3要素から構成される)の他、欧州連合(EU)が組織するドンバス地方復興機構の創設が規定されている。
サイディック特別代表は、「過去数年間、私たちは、ミンスク諸合意が完全には明瞭でないことを理解してきた。重要なのは、中心となる要素である地方選挙の実施を実現するには、外部からの支援が必要であることである。私たちは、この支援を行える可能性があるのは国連だけであるとの結論に達した。OSCEは、選挙プロセスを評価するという課題があり、それがゆえに、選挙の運営をすることはできない。加えて、本件には治安に関する課題もある」と発言した。
同特別代表は、新たな和平計画は12月のミラノで開かれたOSCE外相理事会の会合にて提示されたものであり、そこには、ウクライナ、ロシア、ドイツ、フランスの代表者も出席しており、「彼らは質問をしたり、コメントをしたりすることができた」と説明した。
この計画によれば、国連とOSCEは、別々に行動するのではなく、共通代表者が率いる共通指導部のもとで活動することになる。この指導部が、国連の軍事部隊と警察部隊、及び、現行のOSCE監視団を運営していくことになるとのこと。
さらに、同計画は、EUにドンバス復興機構を創設することを提案している。これは、EUがかつてバルカン半島に有していたものに類似のものを想定している。その機構の活動は、ドネツィク・ルハンシク両州全ての地域で活動し、国連とOSCEの共同ミッションと協力していくことになるが、他方で、国連・OSCE共通指導部の管轄下には入らない。
サイディック特別代表は、新たな和平計画は、「ノルマンディ4国」と呼ばれる、ウクライナ、ロシア、フランス、ドイツの4国の首脳によって署名されねばならず、またこの4国の議会で承認されなければならないと述べる。「政治的・法的観点で真に重みのある合意が必要である。ミンスク諸合意は、ウクライナの議会もロシアの議会も批准しなかった。そして、もちろん、そのことが問題となった。私たちの考えは、計画が政治的重みを得て、その後、すべての当事者がこの計画の実現をサポートし、さらに、この文書は議会によって採択されるべきであるというものである」と発言した。
同時に、本計画は、ドネツィク・ルハンシク両州一部地域において、国連による移行統治機構の設置を想定している。この移行統治機構は、和平計画の実現と再統合をフォローしなければならない。サイディック特別代表は、「この方策の意義は、地元住民を政権から排除することではなく、むしろ、彼らの権利を保証することにある。特赦関係もこの点に属する問題である」と説明した。
同特別代表は、ミンスク諸合意は、ドネツィク・ルハンシク両州一部地域代表がプロセスに参加し、その声が聞かれるべきと定めているが、新しい包括的な合意の採択後も同様にあるべきだと発言した。
同特別代表は、ドンバス地方展開の国連平和ミッションの要員数は、現状では試算されていないが、しかし、誰かが述べているような、2万といった大きな数にはならないと思うと発言した。
なお、これまでにも、1月16日、クリムキン外相が、ルハンシク州シェヴェロドネツィク市にて記者団に対し、OSCEの代表者が、国連・OSCEの共同平和ミッションの創設の提案をしたと述べていた。同大臣は、その際、この共同平和ミッションは、軍事部隊、警察部隊、国際統治の3部門からなることが想定されていると明らかにしていた。
その後、ウクルインフォルムは、サイディックOSCE特別代表の事務所から、12月6、7日にこのような提案がされたが、非公式的性格のディスカッション・ペーパーであるとの情報を得たことを報じた。この文書は、サイディックOSCE特別代表の他、ピエール・モレルTCG政治部会OSCE調整官とエルトゥールル・アパカンOSCE特別監視団(SMM)団長の参加によって作成されたものだと伝えられていた。