マレーシア航空機撃墜の容疑者起訴:各国の反応
19日に国際共同捜査チーム(JIT)が2014年のマレーシア航空機撃墜事件に関与した容疑者を発表したことに関して、オランダはロシアに対して改めて、本件捜査に協力するよう呼びかけた。
19日、在露オランダ大使館が呼びかけ文書を発表した。オランダのNOS通信が伝えた。
報道には、ルッテ・オランダ首相がツイッター上で、JITの長年の業務と真実追及につき謝意を伝えつつ、「5年も続くこのプロセスにて、また一つ重大な一歩がなされた。一歩ずつ真実に近づき、裁判審議を可能とするためである」と書き込んだことが伝えられている。
同日、ウクライナ外務省は、ロシアに対して、ドンバスの武装集団に武器を供給したことの責任を認めるように呼びかけるコメントを発出した。
同コメントにて、ウクライナ外務省は、「6月19日にJITが公開した捜査結果は、重要な意味を有している。なぜなら、どこから死の兵器が持ち込まれたのか、誰がその作戦を計画したのかにつき、最終的な回答が与えられているからだ」と指摘し、ロシアに対して、武器供給の責任を認め、捜査に協力するよう呼びかけている。
同日、アメリカ合衆国のポンペオ国務長官は、米国はロシアに対してMH17撃墜の罪人に責任を負わせるよう呼びかけると発言した。
国務省がポンペオ国務長官の声明を掲載した。
声明には、「全ての容疑者は、ウクライナ東部でロシアが率いる勢力のメンバーである。私たちは、ロシアに対して、国連安保理決議第2166(2014年)を尊重・遵守し、現在ロシアに滞在する全ての容疑者が裁判にかけられるよう保障することを呼びかける」と書かれている。
一方、マレーシアのマハティール首相は、今回のJITの発表を「政治的動機にもとづいたものだ」と指摘した。20日、マレー・メール通信が報じた。
マハティール首相は、「私たちは、最初から本件が政治的問題となっていること、ロシアを断罪することが動機となっていることを非常に不満に思っている」と述べ、ロシアの罪の証拠をみたいが、「そのような証拠はなく、噂だけが出回っている」と発言した。
20日、ロシアのプーチン大統領は、本件につき、ロシアの罪に関する証拠は一切ないと発言した。同日、プーチン大統領が記者の質問に答える形で発言した。複数のロシアのマスメディアが報じた。
プーチン大統領は、「私たちが見ている、ロシアの罪の証拠だとして提示されたものは、全く納得いくものではなく、私たちは、一切の証拠はないと考えている」と発言した。
これまでの報道にあるように、19日、2014年のマレーシア航空機撃墜事件を捜査していたJITが、同撃墜の関与者を公表した。
容疑者として発表されたのは、レオニード・ハルチェンコ(ウクライナ国籍、「DPR」側で戦闘に参加)、セルゲイ・ドゥビンスキー(ロシア国籍、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)大佐、兵器の使用計画の容疑)、オレグ・プラートフ(ロシア国籍、予備大佐、地対空ミサイル・システム「ブーク」の移送に関与し、航空機の撃墜した地域の警備を担当)、イーゴリ・ギルキン(ロシア国籍、ロシア連邦軍元将校、ロシア連邦保安庁(FSB)元大佐、ロシアの対ウクライナ侵略に積極的に参加)の4名。
マレーシア航空機撃墜事件とは、2014年7月17日、アムステルダムからクアラルンプールへ向かっていたマレーシア航空機MH17がウクライナ東部ドンバス地方上空で武装集団により撃墜され、乗客・乗員合計298名全員が死亡した事件をいう。
2016年9月、国際共同捜査チーム(JIT)は、同事件の技術捜査の結果として、同航空機が、親露武装集団支配地域から地対空ミサイルシステム「ブーク」により発射された弾頭「9M38」により撃墜されたことを判明させていた。
同時に、民間調査グループ「ベリングキャット」は、MH17を撃墜した「ブーク」がロシア軍第53対空旅団発のものであることを判明させていた。ベリングキャットは、ソーシャル・メディアとオープンソース情報の独自の分析を通じて、MH17撃墜に関与した20名のロシア軍人を特定させた報告書を発表した。これら軍人の名前が写真付きで示されているこの報告書は、オランダの検察に渡されている。
2018年5月24日には、JITは、MH17を撃墜したロシアのミサイルの破片を公開しつつ、ミサイルがロシアのクルスクを拠点とするロシア軍第53対空ミサイル旅団に属するものであることが判明したと発表した。