露、OSCE国境監視団の活動更新を拒否 ウクライナは非難「兵器・兵員供給継続の意思の現れ」
2日、欧州安全保障協力機構(OSCE)常設理事会会合にて、ロシア連邦が、ウクライナ・ロシア間国境で監視活動をしていた、OSCE国境監視団(OM)のマンデート延長を拒否した。
これを受け、ウクライナは、ロシアに対して、OSCE国境監視団に関する破壊的行為を速やかに止めるよう要求した。三者コンタクト・グループ(TCG)ウクライナ代表団がテレグラム・チャンネルにて関連声明を発出した。
声明には、「9月2日、OSCE常設理事会会合にて、ロシア連邦が、ロシアの国境通過検問地点『グコヴォ』と『ドネツク』におけるOSCE国境監視団(OM)のマンデートを2021年9月30日以降も延長するという、OSCE内にある広範なコンセンサスを支持しないという、露大統領の決定を発表した」と説明されている。
ウクライナ代表団は、今回のロシアの行為は、ロシアが、ウクライナ・ロシア間国境をOSCEが恒常的に監視・検証することを確保することを定めた2014年9月5日付ミンスク議定書第4条をはじめとする、ミンスク諸合意の履行を意図的に拒否することを目的とした行為の延長線上にあるものだと指摘した。
加えて代表団は、ロシアのこのような決定は、同国がドネツィク・ルハンシク両州一部被占領地へと兵器、軍事機器、弾薬、正規軍、傭兵を供給し続け、また供給量を拡大する計画があることを証明するものだとし、それによりロシア・ウクライナ武力紛争圏の情勢が激化し得ると指摘した。
その上で代表団は、ロシアの行為を強く非難し、そのような行為をTCG内の協議の進展を妨害する同国のその他の行為と同列にあるものとみなすと表明した。
声明には、「ウクライナは、ロシア側に対して、OSCE国境監視団に関する破壊的行為を速やかに止め、治安情勢沈静化と政治・外向的手段による武力紛争の更なる解決を目的とするミンスク諸合意の枠内で自らが負っている全ての義務を履行するよう要求する」と書かれている。
なお、OSCE国境監視団(OM)は、OSCE常設理事会の決定(コンセンサス)により、2014年7月29日に、ウクライナ・ロシア間国境のロシア側国境検問地点「グコヴォ」と「ドネツク」の2点に設置された。同監視団は、同国境地点に常駐し、情勢と国境の移動を監視し、報告書を出版していた。現在同地点で活動するのは、22名の国際監視員。なお、OSCEウクライナ特別監視団(SMM)とはマンデートや要員数などが異なる。
ウクライナやその他の国は、OMのマンデートがロシア側の2地点に限定されているのは、国境情勢を監視目的を履行する上では不十分であるとし、被占領地のウクライナがコントロールを失っているその他の国境地点へのマンデート拡大を繰り返し呼びかけてきたが、ロシアが関連決定を妨害し続けてきた(OSCEの決定は、加盟国によるコンセンサスが必要なため)。さらにロシアは、双眼鏡や無人機を含め、OM要員による監視目的の装備の利用も認めてこなかった。
2021年7月22日、OSCE常設理事会は、OMのマンデートを2か月のみ延長していた。