ウクライナ国会、被占領下クリミアでの先住民弾圧を非難するよう国際社会に要請
ウクライナ最高会議(国会)は10日、被占領下ウクライナ領クリミアにて先住民クリミア・タタール人に対する更なる弾圧を非難するよう国際社会に呼びかける声明決議を採択した。
最高会議議員293名が関連決議「一時的被占領下クリミア自治共和国における、侵略国ロシア連邦による、ナリマン・ジェリャル・クリミア・タタール民族代議機関『メジュリス』第一副代表及びその他の先住民クリミア・タタール人代表者の違法拘束に関するウクライナ最高会議声明」に賛成した(過半数は226)。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
最高会議は、9月3、4日のクリミアにおけるクリミア・タタール系住民5名(エルダル・オダマノフ、アジズ・アフテモフ、アサン・アフテモフ、シェヴケト・ウセイノフ、ナリマン・ジェリャル)の自宅への家宅捜索、拘束、逮捕、彼らの弁護の権利の制限、違法な拘置、自白強要を目的とした拷問を非難した。
声明には、「ウクライナ最高会議は(中略)諸外国の政府・議会、国際機関・同議員総会に対して、一時的被占領下クリミアにおける先住民クリミア・タタール人に対するロシア連邦による弾圧の新たな波を非難し、その犯罪の組織・管理・実行の関わった全ての人物に対して制限措置を発動するよう要請する」と書かれている。
議員たちはまた、国際社会に対して、ロシア連邦との接触の際に、先住民クリミア・タタール人に対する違法迫害を停止し、クリミア・タタール民族代議機関「メジュリス」に対する違法禁止を解除するよう命令した国際司法裁判所(ICJ)の2017年4月19日付決定を履行するよう主張するよう要請した。
さらに議員たちは、各国に対して、2021年8月23日にキーウ(キエフ)にて採択されたクリミア・プラットフォーム宣言に加わるよう呼びかけ、また国際法の回復のために、クリミア・プラットフォームにおける政府・議会・専門家レベルでのクリミア脱占領を目的とする努力を増大させるよう要請した。
その他、各国際機関の議員総会に対しては、最近のロシア連邦による犯罪行為に関する公聴会を開催し、クリミア・プラットフォームの国際調整理事会を関与させた上で、ロシアに国際法上の責任を負わせるよう求めている。
最高会議は、クリミアの占領国であるロシア連邦に対しては、国際人道法に従った自らの義務を履行するように要求しており、具体的に、拘束したクリミア・タタール人に対する迫害を停止し、被拘束者を速やかに解放するよう求めた。
また議員たちは、ロシア占領政権がクリミア・タタール民族代議機関「メジュリス」代表者への迫害を行っているのは、クリミア・タタール民族をクリミアから追放し、クリミアの人口構成を変更を目的とした占領国の体系的政策の一部だと指摘した。
これに先立ち、3、4日、被占領下ウクライナ領クリミアにて、ロシア占領機関当局が複数の先住民クリミア・タタール系住民の自宅で家宅捜索を行い、ナリマン・ジェリャル「メジュリス」副代表はじめ、計5名を拘束していた。その後、シンフェローポリ市では、この5名被拘束者の所在を把握しようと集まった住民約60名が占領機関治安当局に数時間にわたり拘束された(その後、2名を残し、残りは解放された)。
ロシア占領政権のシンフェローポリ氏キエフ地区裁判所は、ナリマン・ジェリャル・メジュリス第一副代表、アジズ・アフテモフ氏、アサン・アフテモフ氏に対して、11月4日までの2か月間の拘禁措置を言い渡している。
ゼレンシキー大統領は、同拘束につき、クリミア・プラットフォームの活動開始に対するロシアの反応であるとしつつ、被拘束者を速やかに解放するよう要求している。
本件につき、米国や欧州連合(EU)及び同加盟国は、ロシアを非難するメッセージを発出している。
ウクライナの先住民であるクリミア・タタール人の民族代議機関「メジュリス」で代表を務めるレファト・チュバロフ氏は、被占領下クリミアにおいて同民族が大規模に迫害されていることを受けて、クリミア・プラットフォーム参加国に対して協議の開催を呼びかけた。