ウクライナ代表、ケルチ海峡沖艦船拿捕事件の仲裁裁判を説明
オランダ・ハーグの仲裁裁判所にて始まっている2018年11月のケルチ海峡沖におけるロシア連邦によるウクライナ海軍艦船拿捕事件に関するウクライナ対ロシアの国際裁判にて、ウクライナ側は仲裁際場所の管轄権承認の決定が半年以内に出ることを期待しており、またロシアに対して軍艦拿捕に対する賠償金を求めていく。
13日、ウクライナ代表団にて団長を務めるオクサーナ・ゾロタリョヴァ外務省国際法局局長がウクルインフォルムの特派員にコメントした。
ゾロタリョヴァ氏は、「本件は、ウクライナの事件であることから、賠償金はウクライナのためのものとなり、ウクライナはそれを自らの目的のため、補償関連の発表に応じて分割していく。例えば、艦船に損害があれば、海軍が賠償金を受け取るのが論理的だ。しかしながら、今賠償金について話すのは時期尚早である。私たちはまず、本件の管轄権に関する公聴会を終え、それから内容面の判決が下されるのだが、賠償金に関する判決は、通常裁判の第3段階である。ただし、(編集注:賠償金としての要求)総額は毎日増え続けている」と発言した。
同氏は、ウクライナ側は仲裁裁判所に対して、本件の管轄権を認めるよう呼びかけているとし、本件は軍艦の主権免除に対する決定的な侵害に関する侵害だと強調してきたと指摘し、「そのようなことは世界で誰もしたことがない」と強調した。
また、今後、公聴会は、14、15日も継続されるとし、「あと2日間ある。木曜(14日)は、ロシア側は弁論を行い、金曜(15日)は私たちが行う。その後、仲裁裁判所が決定を行うことになる。私たちは、半年以内にその決定(編集注:本件に関する仲裁裁判所の管轄権の有無)が行われることを期待している。私たちは、非常にポジティブに向き合っている」と発言した。
本件は、2018年11月25日、被占領下ウクライナ領クリミア近くのケルチ海峡沖にて、ロシア治安機関がウクライナ海軍艦船3隻を攻撃、24名の軍人とともにだ捕した事件の裁判。これら3隻の艦船は、オデーサ港からアゾフ海のマリウポリ港へ向かうところだった。
2019年5月25日、国際海洋法裁判所(ITLOS)は、ウクライナ対ロシアの案件における暫定方策として、ロシアに対して、同国がケルチ海峡沖で拘束・だ捕した24名の海軍軍人と艦船を速やかに解放し、ウクライナへ戻すことを命令。これに対して、ロシアは、同判決の効力を認めないとし、ロシアのウクライナ海軍軍人に関する立場は変わらないと発表したが、その後、2019年9月7日、ウクライナとロシアの間で、被拘束者交換が行われ、ウクライナにロシアにて違法に断罪されていた政治囚11名とともに、24名の海軍軍人が帰還している。