ゼレンシキー大統領、ウクライナ周辺の露軍集結について「メディアの生み出す騒音」を警告

ゼレンシキー大統領は10日、複数の報道機関によるロシア軍がウクライナ国境付近に部隊を投入しているとの報道は、戦争が8年目に入っている中、驚きはないと発言した。

大統領が国民向け動画メッセージにて発言した

大統領は、「率直に言おう。戦争が8年目に入っている中、隣国のそのような振る舞いには、驚きはないし、恐れもない。驚きや恐れを覚えるのは、個別の専門家、記者、ブロガーが、それを突然新しいことかのように伝え、メディア上の騒音を生み出したことだ。親愛なる人々よ、砲撃も爆発も、集結も投入も、前線にて8年間連続で起きているのだ。ロシアからの心理的圧力は、すでにかなり前から私たちに効果をもたらしていない。私たちの特殊機関、情報機関、完全な情報を有している。私たちの軍は、いつどこでも、誰に対しても反撃を行う準備がある。あなた方のパニックが軍に役立つことは決してないが、しかし、それが情報戦争の一部となり、敵を助け、国に、戦闘行為以上の損害を出す可能性はあるのだ」と発言した。

また大統領は、ロシア側からは常に、ウクライナこそが和平プロセスを遅らせ、ノルマンディ・フォーマット会談を破綻させているという言いがかりが聞こえるとしつつ、「私は、誰が本当に平和を望んでいるのか、誰が約10万もの軍を私たちの国境に集結させているのか、今回世界中がはっきりと目にすることを期待している」と指摘した。

同時に大統領は、西側パートナーたちがウクライナ国境沿いのロシア軍の活発な移動と集結する部隊数の増加についての情報を提供してくれた事実は肯定的なことだと述べ、何よりもそれがそれらの国がウクライナを支持している証拠であり、東部情勢に関心と知識があることを示していると指摘した。

これに先立ち、10月31日、米ワシントンポスト紙がロシア軍がウクライナとの国境沿いに戦力と兵器を再び集結させていると報道。続けて、11月1日、米政治ニュースサイト「ポリティコ」は、ロシア軍のウクライナ国境近くの再集結を示すものとする衛星写真を公開していた。米政権は、ロシアによるウクライナ国境沿いの動きにつき、同盟国と協議を行っているとし、米国防省は情勢を注視していると発表している。

他方、11月1日、ウクライナ国防省情報総局は、ロシア軍の部隊・兵器の追加的投入は確認されていないと発表。2日、ウクライナ国防省は、2021年11月初頭時点のウクライナ国境付近及びロシア占領下クリミア・ドンバス一部地域に駐留するロシア軍兵力は約9万人だと発表した。また7日、ウクライナ大統領府は、米報道機関によるロシアがウクライナ国境付近に軍を再び集結させているとの報道につき、ウクライナはそのような集結を確認していないと発表している。