ロシアとの協議は譲歩のためではない=ブリンケン米国務長官
ブリンケン米国務長官は、米国はロシアとの協議は、譲歩のために行われるものではないと主張している。
9日、ブリンケン氏が米国の複数テレビ番組出演時に発言した。米ニューヨークタイムズ紙が報じた。
ブリンケン氏は、ロシアとの協議は、クリミア占領開始から8年経った今、ロシアによる対ウクライナ侵攻の脅威がある中で、ロシアに対する譲歩のために行われるものではないと主張した。同氏は、協議は「対話と外交の文脈で、双方、全ての当事者が緊張緩和のためにできることがあるのかどうかを見定めるため」に行われるのだとし、「私たちは過去にもそのようにしてきた」と発言した。
また同氏は、中距離核戦力全廃条約(INF条約)の回復の可能性についてもコメントした。INF条約は、トランプ政権時の2019年、ロシアが同条約に違反していると非難した上で、米国が同条約から離脱した経緯がある。ブリンケン氏は、ABC番組出演時に、「それ(同条約)の刷新のための根拠が現れる可能性がある」と指摘した。
なお、9、10日、ジュネーブにて米露代表者が安全保障戦略対話を行っている。その後、12日にNATOロシア理事会会合が、13日には欧州安全保障協力機構(OSCE)常設理事会会合が開催される。
また、それと並行して、10日、NATOウクライナ委員会会合が開催される。
7日、ストルテンベルグ北大西洋条約機構(NATO)事務総長は7日、2008年のNATOブカレスト首脳会談時の将来のウクライナとジョージアの加盟を認める決定が現在も有効であること、またNATOのオープンドア政策は、スウェーデンやフィンランドなど他の国にも該当するものであると発言した。同時に同氏は、更なる紛争が生じる可能性は現実的であり、外交がうまくいかなかった場合に備える必要があるとも述べている。
同日、ブリンケン氏は、「ウクライナで起きていることは、ウクライナだけに関係するのではない」とし、ロシアはかつてソヴィエトの支配下にあった国々を覆う影響圏の建設に努めており、それらの国が完全に主権的で独立した国家として、民主的な願望を実現することを阻止しようとしていると指摘している。
9日、ジョセップ・ボレル欧州連合(EU)上級代表は、ロシアはウクライナ東部紛争の仲介者ではなく、紛争当事者であり、またウクライナに関する議論はいかなるものもウクライナが席についていなければならないと発言している。