ゼレンシキー大統領、露による武装集団「国家承認」受け、国民にメッセージ
22日、ゼレンシキー大統領は、21日にプーチン露大統領がウクライナ東部ドネツィク・ルハンシク両州一部地域を支配する武装集団を国家承認する決定を下したことを受け、ウクライナ国民向けの動画メッセージを公開し、ロシアはウクライナの国家主権を侵害したと発言した。また、ゼレンシキー氏は、ウクライナは自衛権を維持するが、政治・外交的情勢解決の道を進み続けるとも伝えた。
ウクライナ大統領府がゼレンシキー大統領の動画メッセージを公開した。
メッセージ全文は以下のとおり。
親愛なるウクライナ国民よ!
私たちと私たちの国には、長い歴史講義のための時間はない(編集注:前日のプーチン露大統領の約55分の演説の揶揄)。私は、過去のことは話さない。私は、現実と未来について話す。
私の後ろには、ウクライナがある。国際的に認められた国境の中にある。国境は、変わらない。ロシア連邦が何を言おうと、何をしようとだ。私たちが、落ち着いて、自信を持っているのと同じだ。
私は、その点につき、国民皆にお礼を言いたい。あなた方は、何度も、ウクライナ人は利口で賢明な国民であることを証明している。何があっても、冷静な思考を維持して、落ち着いて、バランスを保って、大人な対応している。私たちは、ずっと前からあらゆることへの準備ができている。しかし、あなた方が夜眠れなくなるような理由はない。
今夜、私たちは、ウクライナ国家安全保障国防会議(NSDC)会合を開いた。
ウクライナは、ロシア連邦の最近の行動を、間違いなく私たちの国の主権と領土一体性への侵害だとみなしている。関連決定の結果の全ての責任はロシアにある。
ドネツィク・ルハンシク両州被占領地行の独立承認は、ミンスク諸合意とノルマンディ(・フォーマット)の決定からのロシアの一方的離脱を意味し得るものだ。それは、平和的努力を弱体化させ、現存の協議フォーマットを破壊する。
ロシアは、今日と明日のあり得る決定によって、自らの軍を合法化する。その軍は、2014年からドンバス被占領地域に実質的に駐留していたものだ。8年間戦争を維持し続けた国は、平和を維持することはできない(編集注:ロシアがドンバス被占領地に「平和維持軍」を展開すると発表していることへの揶揄)。
私は、情勢につき、マクロン仏大統領、ショルツ独首相、バイデン米大統領、ジョンソン英首相、ミシェル欧州理事会議長と協議した。また、エルドアン・トルコ大統領とも話すことを予定している。
今後どうなるか? 私たちは、平和を求めており、一貫してそのための行動を取っている。今日、ウクライナ外務省は、国連安全保障理事会理事国に対して、ブダペスト覚書にもとづいた緊急の協議開催の要請を送った。
私は、国連安全保障理事会の会合召集、欧州安全保障協力機構(OSCE)特別会合の開催を主導する。私たちは、挑発とさらなるエスカレーションの防止のためにOSCEウクライナ特別監視団(SMM)の完全な活動を主張している。ノルマンディ4国の首脳会談の緊急開催も主導した。
私たちは、パートナー国から、明確で効果的な支持のステップを期待している。現在、誰が私たちの真の友人で、パートナーなのか、誰がロシア連邦を言葉で恐れさせ続けるのかを見ることが非常に重要だ。
私たちは、政治・外交的情勢解決にコミットしており、挑発には乗らない。私たちの国境は理想的に守られている。私たちのパートナーは、私たちを支えている。国連憲章第51条に従い、ウクライナは、個別的・集団的自衛権を保持しているし、領域防衛部隊システムも作られた。
私たちは、侵略国軍の挑発と侵攻はしっかり区別している。真実は私たちにある。私たちがあなたたちに真実を覆い隠すことは決してない。私たちが情勢の変化を目にしたら、私たちがリスクの増大を目にしたら、あなたたちはそれを知ることになる。
現在、混乱して行動するための理由は一切ない。そうであり続けるよう、私たちはあらゆることを行っていく。私たちは、平和的で外交的な道にコミットしている。そして、その道を、その道だけを進んでいく。
しかし、私たちは、自らの大地にいる。私たちは、決して、何も、恐れはしない。私たちは、何にも、誰にも罪を負っていない。私たちは、何も、誰にも明け渡さない。私たちの土地の一片たりともだ。一人たりともだ。私たちは、そのことを確信している。なぜなら、今は2014年2月ではなく、2022年2月だからだ。別の国、別の軍がある。目的は一つ、それは平和だ。ウクライナの平和だ!
ウクライナに栄光を!