ルッテ蘭首相、ウクライナ国会でオンライン演説 「オランダは露の石油を完全に絶つ」
オランダのルッテ首相は12日、ウクライナ最高会議(国会)にてオンライン演説を行い、オランダはロシアの石油を完全に断念すると発言した。
ルッテ首相がユーチューブ・チャンネルに動画を公開した。
ルッテ氏は、「プーチン大統領は、迅速な軍事的勝利によってウクライナを孤立させ、西側の民主的勢力を分断できると思っていた。しかし、彼は間違っていた。実際にはそれは深刻な誤算であった。なぜなら、起きたことは反対のことだからだ。西側の民主主義勢力はかつてないほどに団結している。そして、それは根拠のないことではない。なぜなら、この戦争は、民主主義の未来、国際的法の支配の未来の戦争だからだ。主権を持つ人々の自らの道を選ぶ権利の話なのだ。自由の話なのだ。つまり、この戦争は、私たちの共通の未来に関する戦争なのである」と発言した。
同氏はまた、現在の集団対露制裁は歴史上比類なきものだと指摘した。「この手段はこれまでこれほどまでに迅速かつ厳しく、このような規模で発動されたことはなかった。そして、私は、次の大きなステップをできるだけ迅速に実行し、ロシアの石油の購入を止めるべきだと思っている。私は、オランダにはパートナー国、同盟国とともに遅滞なく、このステップを実行する準備があることをはっきり言いたい」と発言した。
同氏はさらに、対露制裁は、ロシアの侵略が終わり、ウクライナの主権が回復されるまで続けられねばならないと強調した。
そして、「私たちは、その道の1インチごとを、あなた方とあり続ける。もちろん、それは軍事機材の供給にも関することだ。オランダは、そのような手段(編集注:武器供与)でウクライナを支えている多くの国の内の一つである。戦争の最初の激しい段階における対戦車、対空システム(の供与)から始まり、現在、ドンバスの戦いが新たな段階にある中、私たちは、最新の自走榴弾砲、パンツァーハウビッツェ2000を、ドイツと緊密に協力しながら送っている。そして、もし戦争の新たな局面で、追加的軍事品が必要となれば、私たちの友好国、同盟国とともに、私たちははもう一度活発に行動する。もう一度言う。私たちは、この道の1インチごとを、あなた方とあり続ける」と強調した。
ルッテ氏は、「道の1インチごと」とは戦後の支援、復興、再建、正義の道も意味すると発言した。「ゼレンシキー大統領が数週間前にオランダの国会にて演説を行った際、彼は、公正にそのことを話した。彼は、世界が今毎日聞いている、凄惨な人権侵害、戦争犯罪について話した。私たちは、ロシア軍が性的暴力を戦争における武器として利用しているのを聞いている。私たちは、無辜(むこ)の民間人への追放、拷問、さらには冷血な殺人が行われているのを聞いている。裁判が開かれ、正義が実現し、正義を勝利させるには、否定しようのない事実が必要であり、証拠を今、できるだけ早く集めなければならない。真実はできるだけ早く開示されなければならない。そして、私たちは、ハーグを世界の法の首都として抱くオランダにおり、特別な責任を感じている。正にそのために、オランダは国際刑事裁判所との緊密な協力の下、ウクライナへ裁判の専門家の大きなチームを送っている。正義を実現させるために」と強調した。
その他同氏は、オランダは自らの経験から国際裁判は長引く、骨の折れるプロセスとなる可能性があることを知っていると発言した。そして、例として、「すでに約8年、私たちは、MH17機撃墜に罪のあるロシア人に一歩ずつ近付いている。私は、この正義を巡る闘いにおいて、一貫した支持を提供しているウクライナに感謝している。そして、私は、ロシアがあなた方の国、勇敢な人々に対して犯している罪に関して正義を確保すべく、オランダは同様に徹底的に仕事をしていくことを約束する。私たちは、道の1インチごとを、あなた方とともにあり続ける。たとえその道がどんなに長く、どんなに困難であろうとも」と発言した。
その他、ルッテ氏は、ウクライナはこの戦争が始まる前から欧州家族の価値あるメンバーであったと発言し、「そして、もちろん、2017年からは、ウクライナは正式なEU連合協定を有している。私にとって、その家族の繋がりが毎日近くなっているのははっきりしている。今大切なことは、EU加盟国がウクライナへの支持とロシアの侵略との戦いにおいて一致することだ」と述べた。また同氏は、重要なことは、ウクライナをEUに近づけるために復興と再建の作業を一緒に行うことだと強調した。
これに先立ち、3月31日、ゼレンシキー大統領がオランダの国会でオンライン演説を行っていた。