ゼレンシキー宇大統領、保安庁と検事総局のトップを停職処分 職員の多くに国家反逆罪容疑者
ウクライナのゼレンシキー大統領は17日、イヴァン・バカーノウ保安庁(SBU)とイリーナ・ヴェネジクトヴァ検事総長を停職させる大統領令に署名した。ゼレンシキー氏は、SBUと検察機関に多くの国家反逆罪容疑者が出たことを理由に挙げている。
関連大統領令第499と第500が大統領府ウェブサイトに掲載された。
また、大統領令第501によって、オレクシー・シモネンコ(検事次長)に検事総長権限の代理履行が任されている。
バカーノウSBU長官の停職決定は、ウクライナ軍規律憲章第47条を根拠とした停職と書かれている。同第47条は、人的犠牲あるいはその他重大な結果をもたらした、あるいはそのような結果発生の脅威を生み出した業務義務の不履行(不適切な履行)が、停職の根拠となると定められている。同時に同条は、業務調査の結果次第で、停職命令は解除されることも定めている。
また、戒厳令法体制法第11条第2項は、戒厳令施行期間、大統領が高官の停職、任命、解任、代行権限付与を定めることができると定めている。
ゼレンシキー大統領は、同日夜の動画メッセージにて、今回の2名の停職の理由を説明した。
ゼレンシキー氏は、同日、ロシアに協力した犯罪者に対する作戦の結果の報告を受けたとし、「国家捜査局とSBUの職員が、クリミア自治共和国SBU総局元局長を拘束した。この人物は、全面的侵攻の当初に私が解任した人物であり、ご覧の通り、同決定は完全に正しいものだった。同人物に国家反逆罪を通達するに十分な証拠が集まった。彼の全ての犯罪的行為は記録されている。過去数か月とそれ以前に彼が行ったこと全てに、然るべき法的評価が下される。同様に、彼とともに、ロシア連邦の利益のために働いた犯罪集団に入っていた者全てが責任を負う。機密情報の敵への提供や、その他ロシア特殊機関との協力のことだ」と発言した。
また同氏は、「私は、最も厳しい前線地域を訪れてきた。個人的に、特に治安機関の活動を把握した。その結果、ご存知の通り、ヘルソン、ハルキウといった地域の治安分野の幹部に関する人事決定が採択された。地方の行政トップについても対処した。治安分野と法執行機関の幹部一人一人の具体的な行為と行為の無活動は、評価を受ける。法執行機関の関連監査は、すでに最初の結果を出しており、今後も継続される」と伝えた。
さらに、同氏は、「今日の時点で、検察、裁判前捜査機関、その他法執行機関の職員の国家反逆罪と敵対協力行為につき651件の刑事捜査が登録されている。198の捜査では、当該人物に容疑が伝達されている。特に、60人以上の検察官とSBUの職員が、被占領地に残り、私たちの国家に対峙して働いている。国家安全保障の基本に対するこのような大規模な犯罪と、ウクライナの治安機関とロシアの特殊機関の職員の間で確認された連絡は、関連する機関の幹部に対する非常に深刻な疑問をもたらすものである。そのような問題の一つ一つが然るべき回答を受け取ることになる。私は、今日、検事総長の停職、SBU長官の停職に関する決定を採択した」と報告した。
同時に18日、スミルノウ大統領府副長官は、テレビ番組出演時に、ヴェネジクトヴァ検事総長とバカーノウSBU長官の停職は解任を意味せず、業務調査が行われ、それを受けて、大統領が関連の提案を最高会議に提出すると発言した。なお、平時は、検事総長とSBU長官の任命・解任は、大統領の提案を受けて、最高会議が決定する。