米ワシントンポスト紙、露保安庁のウクライナ侵攻前の誤算を説明
米ワシントンポスト紙は、露連邦保安庁(FSB)をはじめとするロシアの情報機関が、同国の対ウクライナ全面的侵攻を前に、情勢分析を誤っていたことで、課題達成に失敗したとする分析記事を掲載した。
ワシントンポスト紙が、ロシアの情報機関関係者を交えたやりとりの通信傍受記録を含む機密情報や、ウクライナ、米国、欧州の関係者の詳細インタビューから構成される記事を掲載した。
第一の失敗は、ウクライナ情勢を長年追っているFSBの作戦情報局が、ウクライナがどれだけ真剣に抵抗をするのかを理解できず、プーチン露大統領に不都合な情報を伝えることもできてなかったことだという。
記事には「この局は、モスクワの関係者に、ウクライナ政府はすぐに倒れるし、彼らは同国に傀儡政権を樹立できると明言していた」と書かれている。
しかも、FSBの将校たちは、キーウの政権を迅速に奪取できると確信していたあまりに、侵攻開始前の数日には、キーウに住居を得るために資金を使っていたのだという。
さらには、全面的侵攻の前に、クレムリンはFSBのいわゆる「ウクライナ」担当局の人員を拡大しており、「将校の数が2019年の約30人から、ウクライナ侵攻前には160人まで増えていた」という。
また、FSBは有名な敵対協力者と緊密に協力し、キーウを制圧した後のウクライナ政権の代わりとなり得る、少なくとも2つの「親露政府」を用意していたと伝えている。
その中には、2014年にロシアへと逃亡したヴィクトル・ヤヌコーヴィチ元ウクライナ大統領や、ウクライナの親露政党の幹部の1人であり、プーチン氏と近いヴィクトル・メドヴェチューク氏が含まれていたという。ヤヌコーヴィチ氏は、3月初旬にベラルーシに集まった集団の中心部におり、その集団はおそらく政権を取り戻すために集められていたのだという。もう1つの集団はヤヌコーヴィチ氏の政党のかつてのメンバーからなり、ロシア軍が全面的侵攻当初に制圧したウクライナ南部に集まっていたという。