IAEA調査団、ザポリッジャ原発調査を終了 5名の団員が引き続き滞在

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1日、ロシアの占拠するウクライナ南部のザポリッジャ原子力発電所の調査を行った国際原子力機関(IAEA)調査団は、調査実施後、5名の団員を敷地内に残して現地を立ち去った。

ウクライナの原子力発電公社「エネルホアトム」がテレグラム・チャンネルにて伝えた

発表には、「2022年9月1日18時時点で、ラファエル・グロッシーIAEA事務局長は、ザポリッジャ原発を立ち去った。彼とともに、調査団の大半の団員も原発から出発した」と書かれている。

同時に、5名のIAEA調査団団員は、原発敷地に残り、運んできた荷物の積み下ろしをして、敷地内で活動を続けるという。5名の原発での滞在は、9月3日までの見込みだという。

また、グロッシーIAEA事務局長も同日、ツイッター・アカウントにて、自身の同原発最初の訪問を終了すると報告するとともに、まだ行わなければならないことは多いとし、IAEA調査団のメンバーが原発敷地内に残るとした上で、最も重要なことはIAEAが同原発に継続してプレゼンスを維持することだと強調した

BBCロシア語版は、グロッシー氏が、調査団はザポリッジャ原発で十分に重要な情報を集めたと述べたが、詳細については明かさなかったと報じた

ウクライナの公共放送局「ススピーリネ」は、ザポリッジャ原発職員による、今回の調査は「サーカス」のようなものだったとの発言を報じた

同職員は、「彼ら(編集注:ロシア側)は、グロッシー氏と監査員(編集注:調査員)を自分たちのルートで連れ回し、『(編集注:砲弾)飛来地図』を見せ、彼らのところに地元の敵対協力者を連れてきて、その『無関心ではない市民』に砲撃停止が必要だと言わせたのだ。それはサーカスであった」と発言した。

また同職員は、ロシア軍人は原発敷地内にいるのは放射線医学、化学・生物学防護の専門家であり、ロシア軍の部隊ではなく、ザポリッジャ原発はウクライナ軍が砲撃しているのだとIAEA調査団を説得しようとしていたと伝えた。

そして、グロッシー事務局長や大半の調査団団員が立ち去った後、他5名の調査団団員はエネルホダル市に残り、ホテルに泊まりながら、数日間(9月3日までの見込み)作業を続けるのだという。

これに先立ち、1日、IAEA調査団が、ロシアの占領下にあるウクライナ南部エネルホダル市に位置するザポリッジャ原子力発電所に到着したことが発表されていた。

ザポリッジャ原子力発電所は、欧州で最大の原発であり、3月4日にウクライナを侵略するロシア軍に制圧された。以降、ロシア軍は、同原発敷地内に軍事機材や弾薬を配備し、敷地から近隣のウクライナ政府管理地域を攻撃したり、ウクライナ軍の攻撃に見せかけて原発敷地を攻撃したりしている。

ウクライナの原子力発電公社「エネルホアトム」社は1日、ロシア軍が占領するウクライナの町エネルホダルに対して迫撃砲で攻撃したことにより、同市に位置するザポリッジャ原発の緊急保守システムが稼働し、第5原子炉が緊急停止したと報告していた。

G7外相は8月10日、ロシア連邦に対して、ザポリッジャ原子力発電所の完全な管理を直ちにウクライナに戻すことを要求する声明を発出している。