ゼレンシキー宇大統領、国民に節電呼びかけメッセージ【全訳】

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ウクライナのゼレンシキー大統領は、10日のロシア軍のミサイル攻撃による被害を克服する作業がウクライナ全土で続いており、多くの地域ですでに電力供給が復旧しているが、同時に電力需要ピークの時間帯に節電を行うよう国民に呼びかけた。

ゼレンシキー大統領が同日夜の動画メッセージを公開した。メッセージ全訳以下のとおり。


親愛なるウクライナの民よ!

さらなる私たちの防衛の1日だ。困難な1日だ。

現在、国中で復旧作業が行われている。今日のロシア・テロリストの攻撃により損傷した施設を全て、私たちは復旧する。それは時間の問題に過ぎない。私は、私たちの国家の全ての機関に、最大限迅速に復旧が行われるように課題を出した。

攻撃により電力供給が止まっていた町や地域の一部では、送電が回復している。

今この時点で、ハルキウ州では、電力供給の50%が復旧している。大半の地域のために電力を復旧させるには、エネルギー関係者にはまだ数時間必要だ。

ポルタヴァ州は、ほぼ全域で復旧した。ミコライウ州、ザポリッジャ州、オデーサ州も送電できている。チェルカーシ市も大丈夫だ。フメリニツィキー市は、半分以上で通電している。

いくつかの町、いくつかの地域では、人々に電気を渡すためには、まだ作業をしなければいけない。チェルニヒウ州、スーミ州、キーウ市、キーウ州、リヴィウ州、テルノーピリ州、ドニプロペトロウシク州については、作業中だ。あるところでは数時間、あるところではもっと待たねばならないが、しかし全ての場所で結果を出す。

残念ながら、今日、このテロ攻撃により、12人の人が亡くなった。80名以上が負傷した。支援を求めた人皆が、支援を受け取っている。

ウクライナ軍、情報機関、保安庁(SBU)、私たちの国家を守る仕事に携わる全ての機関もまた、自らの課題を遂行している。

ウクライナに対して放たれたロシアの84弾のミサイルの内、43弾を撃墜した。24のロシアの無人機の内、13機を撃墜した。その後すらも、私は、10分ごとにイランの無人機「シャヘド」の撃墜の報告を受け取っている。

過去数時間だけでも、16時28分「リトキ地区でシャヘドを破壊」、17時26分「クレメンチュークでシャヘドを破壊」、17時36分「チェルカーシでシャヘドを破壊」、17時40分「ドウヒンツェヴェ、クリヴィー・リフでシャヘドを破壊」、17時50分「アポストロヴェでシャヘドを破壊」。

一日中このような感じだ。現在、私が話している間も、私は、その報告を受け取り続けている。そのため、頼むから、安全ルールを守り、空襲警報に注意を向けてくれ。危険はまだある。しかし、私たちは戦っている。

私は、今日活動していた私たちの空軍と陸軍部隊に感謝している!

テロリストの親分たちは、あたかも彼らは予定していた全ての目標に命中させたと述べている。

第一に、彼らはいつも通り嘘をついている。

第二にも、彼らはいつも通り嘘をついている。エネルギー関係以外の彼らの真の目的を見て欲しい。私たちの首都の例1つだけ、とってみてもそうだ。

私の今立っているキーウの交差点。ヴォロディーミルシカ通りとシェウチェンコ大通りの交わる交差点。それが「標的」だ。

ここから700メートル先には、ソフィア大聖堂の鐘楼がある。それが建てられた時には、モスクワはまだ存在しなかった。

もう少し先には、ヴォロディーミル坂がある。そこは、キリスト教の源泉であった場所であり、東欧文化の始まりの場所である。ずっと後になって「ロシア」と呼ばれるようになった土地にとってもそうだ。

私の隣には、シェウチェンコ大学の校舎がある。同大学は、まもなく創立190年を迎える。それらが今、ロシアの攻撃で傷つけられているのだ。しかし、私たちは全て復活させる。

市営「教師の建物」も今日傷ついた。そこにはかつて、ウクライナ中央ラーダが入っていたところであり、そこはウクライナ人にとってずっと私たちの偉大な建国史を記念する場所であり続けるところだ。

そして、私のすぐ後ろ、シェウチェンコ公園の遊具場もまた、ロシアのミサイルの標的となった。しかし、遊具場は単にシェウチェンコ公園にあるだけではない。それは、キーウの博物館が集まる通りにある場所である。ハネンコ美術館もテロリストの攻撃により損傷した。

そして、同様に、私たちの国の全ての町が、民間の文化的な教育関連の施設なのだ。誰にそれらと戦うことができるのだろうか? 誰がそのような施設、そのような大地に対する攻撃を喜ぶことができるのだろうか?

彼らは、ウクライナを18世紀に追いやりたいと話している。しかし、彼らは、自分たち自身がより古い時代、未開人の時代に入り込み、未開人になってしまっているのだ。

ウクライナは、いずれにせよ21世紀に残る。

キーウは、様々な他者を見てきた。そして、それら全てを生き延びた。キーウは、このテロリストの襲撃も乗り越える。そのテロリストたちには、歴史もなければ、伝統も文化もない。彼らは、一時的な存在だ。そして、たとえ70年生きようが、何も理解することはないだろう(編集注:70歳の誕生日を迎えたプーチン露大統領への皮肉だと考えられる)。

ウクライナを怯えさせることは不可能だ。より一層団結するだけだ。ウクライナを止めることは不可能だ。より一層、テロリストは退治せねばならないとの確信を抱くだけだ。

ロシア軍は、あえて朝のラッシュアワーにてこれら攻撃を行った。それは、テロリストがよくやる手口だ。彼らは、できるだけ大きな恐怖を生み出し、できるだけ多くの人を傷つけたかったのだ。彼らは傷つけた。彼らは世界中を傷つけたのだ。

今日、私はもう、ドイツ首相、フランス大統領、カタール首長、ポーランド大統領、オランダ首相、英首相、国連事務総長と話をした。

米大使と会談を行ったし、カナダ首相や米大統領との対話も予定されている。明日は、イタリア首相とだ。

皆、明確な支持をありがとう!

世界を団結させている。私は、世界が私たちと共にあることを感じている。明日はもう、緊急のG7会合が予定されている。私たちは、国連総会のロシアによるエスカレーション行為全てや同国のテロを非難する決議の作成作業もしている。テロは、グローバルな対応を必ず受け取る。あからさまなロシアのテロは、皆をより強力な決意へと向かわせるだけである。

電力について。私たちは、当たり前の発電と電力供給を復旧するためにあらゆることを行う。どのようなロシアのテロがあろうとも、エネルギーが全ての家族に行き渡らなければならない。全ての家、全ての州にエネルギーが満たされなければならない。

そのため今、私たちにはエネルギーの賢い消費が必要だ。電力システムへの負荷のピークの時間帯は、17時から22時までだ。強くお願いする。どうかこの時間帯は、電力システムに負荷をかけないように電気を消費してくれ。洗濯、アイロンがけ、修理、その他の電力消費の多い電気機器の使用は、頼むから、17時までか、22時以降にして欲しい。大きなお願いだ。

より多くのウクライナ人が電気をそのように消費すれば、私たちの電力システムはさらに安定して稼働していくことになる。

私たちは、最新の防空システムを手に入れるためにあらゆることを行っている。そして私は、すでに提供を加速しているパートナーたちに感謝している。

わたしたちの軍を強化するためにあらゆることを行っている。そして、すでに占領者たちは、戦場で私たちに対峙することが全くできていない。そのため、このようなテロに踏み切っているのだ。それならば、私たちは、戦場を敵にとってより痛みのあるものにしよう。そして、壊された物全てを再生させよう。

お願いだから、助け合ってくれ! お願いだから、このような状況下で一人きりになっている人たちの世話をしてあげてくれ! 自分を、ウクライナを、ウクライナ軍を、私たちの勝利を信じて欲しい!

ウクライナに栄光あれ!