駐ウクライナG7大使、同国の司法改革の進展に期待表明

ウクライナに駐在するG7の大使たちによるウクライナ国内改革支援グループ「G7大使ウクライナ・サポート・グループ」は10日、裁判官大会が高等司法評議会の8人の新しいメンバーを任命することと同評議会の速やかな活動の開始への期待を表明した。

G7大使ウクライナ・サポート・グループがツイッター・アカウントにメッセージを掲載した

大使たちは、「G7大使たちは、裁判官大会が、倫理評議会が審査した候補者の中から高等司法評議会の8人の新たなメンバーを任命することを待ち望んでいる。高等司法評議会のできるだけ早い活動開始は、欧州統合の道を進むウクライナの裁判改革における重要な一歩である」と指摘した。

なお、ウクライナでは、1月11日〜13日に、臨時ウクライナ裁判官大会が開催される。同大会の2つの主要な議題は、8名の高等司法評議会の8名の新しいメンバーの選出と、ウクライナ憲法裁判所の2名の裁判官の選出となっている。

なお、2021年、ウクライナ最高会議は、同国の裁判(司法)改革を行う上で重要な法案を複数採択していた

同年8月3日、ゼレンシキー大統領は、裁判改革を実現するための重要法とされる、高等裁判官選考委員会再編法(第3711ーd)と、高等司法評議会再編法(第5068)に署名し、発効させていた。両法は、国際専門家を参加させた上でのウクライナ司法政権の人員刷新を定めている。

とりわけ、高等司法評議会再編法は、高等司法評議会のメンバーの公正性の調査手続きを定め、また裁判官に対する懲罰手続きも変更するもの。「高等司法評議会」とは、裁判官の任命や、裁判官への懲罰、解任を最終的に決定する、司法システム上の重要機関である。同法は、「倫理評議会」の設置を定めている。同評議会は、ウクライナ裁判官評議会が定める裁判官あるいは退官裁判官から計3名と、国際機関が定める3名(国際専門家)の計6名で構成される。この際、倫理評議会では、「公正選考委員会」同様、国際専門家が決定的投票権を得る。

この倫理評議会は、高等司法評議会のメンバー候補の専門倫理と公正さの基準を調査、及び評議会設立後3か月以内に高等司法評議会現職メンバーの専門倫理と公正さの基準を調査する。倫理評議会は、評価に応じて現職メンバーの解任勧告を行うことができる。

2022年6月17日、欧州委員会は、ウクライナへのEU加盟候補国地位付与の勧告に並び、今後ウクライナにより行われる課題のリストを公開していた。その際の勧告には、主に、法の支配強化と汚職対策の分野の課題が記されており、その中には「高等司法評議会メンバーの候補の倫理評議会による公正性審査と、ウクライナ高等裁判官選考委員会創設のための候補選択の終了」も含まれている。