国際司法裁判所でウクライナ対ロシアのジェノサイド容疑公聴会始まる
ハーグの国際司法裁判所(ICJ)にて18日、「集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約」(通称「ジェノサイド条約」)に基づくジェノサイド容疑におけるロシアの予備的異議申し立てに関する公聴会が始まった。
ウクルインフォルムの特派員が伝えた。初日は、ロシア側が発言を行う。
法廷には、同訴訟に加わった32か国の代表者が出廷しており、彼らにも発言の権利がある。なお、国連加盟国193か国中34か国が参加するのは、1事件の参加国数としてICJ史上最大。
ICJは、管轄権に関する公聴会を実施し、ICJが本事件の管轄権を認め、訴訟を完全かつ部分的に受け入れる場合、事件は内容面での審理に移ることになる。
なお、公聴会は、オンラインでも閲覧できるようになっている。
事件は、1948年付ジェノサイド条約の解釈、適用、履行に関わるもの。
ウクライナは、ロシアを相手にしたICJへの本提訴にて、ロシアが侵略国としてジェノサイドの概念を歪曲した点の責任を追及することを求めている。
ウクライナがこの訴訟を起こしたのは、ロシアによる全面侵攻開始の2日後の2022年2月26日。これを受け、2022年3月16日、ICJは、ロシアに対してウクライナ侵攻の即時停止を命じている。
写真:イリーナ・ドラボク/ウクルインフォルム
ウクライナの主張によれば、ロシアはジェノサイド条約の項目を利用し、印象操作しながら、ウクライナがあたかも2014年以降ドンバス地方にてジェノサイドを行っていたかのように非難してきた。そして、ロシアは、2022年2月24日、その主張を口実に軍隊を派遣し、ウクライナに対して全面的な侵攻を行った。
18日、ロシアを代表するのゲンナジー・クジミン氏は、公聴会にて、ICJには同事件の管轄権がないと主張した。
クジミン氏はまた、ウクライナ政権を「キーウ政権」と呼んだ上で、同政権がロシア語話者を迫害していると主張し、またウクライナをナチズムで断罪した。
さらに同氏は、ルハンシク・ドネツィク領収でウクライナ政権がジェノサイドを行い、あたかもウクライナが2014年にドンバス地方で戦争を始めたかのように主張した。
なお、これらのロシアの主張、断罪の度に、メディア関係者が傍聴する傍聴席から笑いが起きていた。
ロシア代表者の立場表明は3時間に及んだ。
19日には、ウクライナの代表者が発言する。
当事国及び同事件への32の参加国は、公聴会でそれぞれの立場を表明する。2023年6月5日に、ICJは、32か国の介入を認める決定を下している。