ウクライナ外務省、AIで作られたデジタル代表者「ヴィクトリヤ・シー」を発表

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ウクライナ外務省は1日、AI技術を用いて作られたデジタル代表者「ヴィクトリヤ・シー」を発表した。今後、同人物は、報道機関向けに領事情報につきコメントしていくという。

ウクライナ外務省広報室が公表した

この外務省の領事問題代表の「ヴィクトリヤ・シー」は、実在するウクライナの歌手ロザリー・ノンブレ氏をもとに、同氏から「シー」のプロトタイプとなることへの同意を得た上で作られたという。

外務省は、ヴィクトリヤ・シーと歌手のノンブレ氏は異なる別の人物であり、外務省領事部を代表して公式コメントを行うのは、前者のみだけだと指摘した。

シー氏は、自己紹介動画で、「私の名前(ヴィクトリヤ)は、私たちの主要な目的であるウクライナの勝利を象徴しており、私の姓(シー)は、私を生み出した、人工知能(штучний інтелект — ШІ(シー))からである。私の仕事は、社会にウクライナ外務省領事局の迅速かつ確認された情報を届けることにある。私は、記者たちに、領事のウクライナ国民の国外での権利と利益の保護の活動や、事件や非常事態への対応に関するニュースや、その他のニュースについて伝えていく」と発言した。

シー氏のコメントは、外務省の公式サイトやソーシャルメディアの公式アカウントに掲載される他、外務省広報室から記者たちに伝えられていくとのこと。

クレーバ宇外相は、「AI生成のデジタル人物を領事のコメントに用いることは、何よりも外務省の時間とリソースの節約である。本物の外交官は、より効率的となり、国民への支援提供というその他の課題に集中することが可能となる」と発言した。

さらにクレーバ氏は、外務省の仕事におけるAI技術の活用は、気まぐれではなく、戦時の要求だとし、国のために必要な結果を達成するには、全てのプロセスを加速し、一歩先に進み続けなければならないからだと強調した。

同氏は、「ウクライナだけでなく、世界中で外交は常に保守的な分野であり、イノベーションの導入が遅れている。私たちはそれを変えている。ウクライナ外交は、現在自らの能力を強めており、世界のどの外交機関も実現したことのない技術的な飛躍を行っている」と発言した。

また外務省は、ヴィクトリヤ・シーが捏造されることに対して、数段階の保護を施していると指摘した。例として、全ての動画にはQRコードが埋め込まれ、動画と同じテキストの掲載された外務省の公式サイトへアクセスできるようになっているという。QRコードがない、あるいは別のサイトへアクセスさせられる場合は、その動画は本物とはみなせないという。

同時に、このデジタル代表は、ウクライナ外務省の報道官の代わりではないとし、ニコレンコ前外務報道官が人気を終了した後に、すでに同職への公募が行われており、新しい人物がすでに選ばれており、現在必要な特別審査が行われているところだと説明されている。

今回発表されたAI領事代表者「ヴィクトリヤ・シー」プロジェクトは、市民団体「ゲームチェンジャーズ」が、市民団体「ナゾヴニ・テック」の協力を得て実現されたものだという。外務省は、「ゲームチェンジャーズ」との連携で、これまでに「リヴィング・ザ・ウォー」という、世界中のどこでもロシアによる対ウクライナ侵略を仮想現実で体験できる外務省のVRプロジェクトが作られたことを紹介している。

写真:外務省