81%のウクライナ国民「露と紛争が継続」 クリミア返還を信じるのは43%=大型世論調査
最新の世論調査によれば、約81%のウクライナ国民は、ウクライナ領ではロシアとの武力紛争が継続していると考えており、また約43%はクリミアは返還できると考えていることがわかった。
23日、ハルキウ社会学研究所が人権保護センター「ズミナ」と協力して、クリミア自治共和国ウクライナ大統領代表部の支持を受けて、今年3、4月に実施した世論調査結果が大統領府にて発表された。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
発表された調査結果によれば、「ウクライナ領にてロシアとの武力紛争が継続していると考えるか」との設問に対して、「そう思う」との回答は80.7%、「そう思わない」は14.5%だった。
また、追加で「あなたは、どこで武力紛争が起きていると考えるか」との設問には、51.5%がドネツィク・ルハンシク両州にて、44.4%は同両州とクリミアにてと回答した。
さらに72.3%の回答者は、クリミアの占領とドネツィク・ルハンシク両州一部地域の武力紛争は一つの紛争を構成していると回答。5.4%はそう思わないと回答した。
67.2%の回答者は、ドネツィク・ルハンシク両州一部地域の武力紛争が終了するかどうかはロシアにかかっていると回答、35.6%はウクライナにかかっていると回答、16.8%は米国に、14.0%は欧州にかかっていると回答した。64.5%の回答者は、クリミアの占領終了はロシアにかかっていると回答、30.9%はウクライナに、14.0%は米国に、11.7%は欧州にかかっていると回答した。
その他、54.0%の回答者は、ドネツィク・ルハンシク両州一部地域の紛争終結のためにウクライナは妥協を一切するべきでないと回答。13.0%は、同地にウクライナ領内で自治を与えるべきだと回答した。
ドネツィク・ルハンシク両州一部地域がウクライナのコントロール下に戻る可能性があるかとの設問には、51%がそう思うと回答、クリミアに関する同様の設問には、43%がそう思うと回答した。
大統領府発表によれば、コリネヴィチ・クリミア自治共和国ウクライナ大統領代表は、今回の調査結果の重要性を指摘し、「私たちにとって、全ての地域のウクライナ国民が、クリミアとドンバスでロシア連邦の武力侵略によって生じた一つの国家間武力紛争を抱えているということを明確に認識しているということは重要である。私たちは、多くのウクライナ国民が一時的被占領地の奪還に楽観的であることを見ている。それは私たちが今後も活動する上での支えになるし、『クリミア・プラットフォーム』のようなウクライナが創設する新しい場、新しいイニシアティブを楽観的に見る上での後押しともなる」と強調した。
UNDPの「ウクライナにとっての人権」プロジェクト代表を務めるスヴィトラナ・コリシュコ氏は、同調査は、ウクライナ国民がこれらの問題について知識があり、無関心ではないことを示しており、この結果は体系的な政策を作り上げる上で重要となると指摘した。同氏は、「『あまり重要でない』とか『今はその時期ではない』といった態度は取られていない。ウクライナ国民には、この方向での今後の行動について非常に大きな需要がある」と指摘した。
ズミナがオンライン公開した調査結果では、46.6%の回答者が、ドネツィク・ルハンシク両州一部地域と被占領下クリミアの住民は、紛争の犠牲者であり、ウクライナ政権からの包括的サポートを必要としている人々だと答えた。
72.4%は、これら被占領下住民に対して、ウクライナ国家のサービスへの最大限のアクセスを確保すべきであり、またウクライナ政府管理地域との連絡・コミュニケーションを維持できるようにすべきだと回答した。12.9%は、政府のリソースを被占領地住民とのコンタクト維持のために使うべきではないと回答、24.6%は被占領地住民は自らの意思で同地に残っているのであり、ウクライナがサポートする必要はないと回答した。
被占領下ドンバス・クリミアで発行された各種証明書について、一切認めるべきでないとの回答は35.3%、一部認めることは可能だとの回答は21.5%、証明書の情報を認めてウクライナが同様の証明書を発行すべきとの回答は11.5%、完全に認めるべきとの回答は24.3%だった。
被占領地住民がロシア国籍を取得したことに関する設問では、「人々がその地で生き残ることに役に立つものであり、理解する」との回答が、ドンバス住民の取得について45.8%、クリミア住民の取得について47.4%だった。
25.6%の回答者は、ドンバス地方住民のロシア国籍はそれをそもそも国籍とみなさないと回答。11.5%がロシア国籍取得は犯罪だと思うと回答した。同様に、クリミア住民に関しては、25.1%が「国籍とみなさない」、9.9%が「犯罪だと思う」と回答した。
クリミア・ドンバス一部地域の占領政権との協力について、「刑事犯罪」とみなすとの回答は62.1%だった。
具体的に何をもって「占領政権との協力」とみなすか質問すると、占領政権幹部となることが52.6%、「法執行機関」「裁判所」にて勤務することは48.7%、いわゆる「DPR/LPR」・クリミアの占領政権地方自治体の職に就くことは43.8%だった。
今回の世論調査は、2021年3月から4月にかけて、ハルキウ社会学研究所が人権保護センター「ズミナ」と協力し、クリミア自治共和国ウクライナ大統領代表部の支持を受け、国連開発計画(UNDP)ウクライナ代表部と行うプロジェクト「ウクライナにとっての人権」の発注で、デンマーク外務省の財政支援を受けて実施されたものであり、ウクライナ全州とキーウ(キエフ)市でそれぞれ400名ずつ、計1万名の18歳以上の人物に対面式で実施したもの。理論的誤差は、全体で±1%未満、各州・首都個別の結果で最大±5%だと説明された。