ロシアでギルキン氏拘束 ウクライナ情報機関がコメント

2014年のクリミア占領やウクライナ東部侵攻に参加し、武装集団「DPR」の「国防相」を名乗っていた露国籍のイーゴリ・ギルキン氏(ロシア連邦軍元将校、ロシア連邦保安庁(FSB)元大佐)が、21日にロシアで拘束された。

露RBCが報じた

21日正午頃、ロシアの治安機関職員がギルキン氏を家から連行したとという。捜査班が彼のアパートの家宅捜索を行っていると報じられた。暫定情報では、今回の拘束は、傭兵集団「ヴァグネル」の元要員の要請によって行われたという。ギルキン氏の配偶者によれば、同氏はロシア連邦刑法典の「過激主義」に基づいた容疑がかけられたのだという。

また、ウクライナ国防省傘下情報総局のユソウ氏は、ウクライナのテレビ番組「統一ニュース」出演字に、今回のギルキン氏の拘束にコメントした。

ユソウ氏は、「以前はもっと密かに行われていた過程が、プリゴジンと民間軍事会社『ヴァグネル』のいわゆる『正義の行進』の後は、より表に出始めている」と指摘した。

同氏はまた、モスクワへ向かったのはプリゴジンであり、航空機やヘリを撃墜したのもプリゴジンなのに、拘束されたのがギルキンというのは、逆説的な状況だと発言した。さらに同氏は、「それがプーチン政権の特徴だ。問題はギルキン本人にあるわけではない。彼は、当然ながら、これまでも独立した人物として行動していたわけではない。他の多くの従軍記者、ないしは、コメンテーター、ないしは、『ギルキン・クラブ』参加者と同じで、彼らは独立した人物ではない」と発言した。

そして同氏は、「つまり、クレムリンの塔の住民たちが内部対立のアクティブな局面へと到達しつつあるということだ」とコメントした。

なお、ギルキン氏は、ヴァグネルがロシア国内で反乱を起こした後、ヴァグネルを激しく批判していたことが知られている。

これに先立ち、2020年、ウクライナ検事総局は、2014年当時、違法武装集団「DPR」にいわゆる「国防相」を名乗っていたイーゴリ・ギルキン氏に戦争法規慣例違反(殺人や拷問など)の容疑を遠隔で伝達していた

さらに、2022年11月、オランダのスキポール裁判コンプレクスにて開かれた2014年7月のウクライナ東部にて撃墜され、乗員・乗客計298名が殺害されたマレーシア航空MH17便撃墜事件裁判では、ギルキン氏に対して終身刑が言い渡されており、同氏拘束の命令が下されている。