プーチンは欧米の注意をウクライナへの武器供与から逸らすために戦争「凍結」のシグナルを送っている=戦争研究所
ISWの23日付報告書に書かれている。
報告書には、「報じられたプーチンの停戦への関心のタイミングは、ロシアの完全勝利以外の形で戦争を終結させることへの真剣な関心よりも、ロシアによる西側のさらなる対ウクライナ武器支援を遅らせ、思いとどまらせる現在の努力にこそ一致している」と指摘されている。
さらにISWは、2022〜2023年の冬にも、ロシアとの交渉へと向かわせるべくウクライナへ圧力をかけるように、欧米の制作立案者を惑わそうとする類似の努力が見られていたことを指摘している。
そして、それはウクライナの春・夏の反転攻勢を前に同国へと十分な物資を提供するのではなく、仮想的な交渉に欧米の関心を向けさせるために行われていたものだったと説明されている。
さらにISWは、クレムリンはおそらく、欧米がウクライナへのさらなる軍事支援供与に関する協議をする中で、過去の努力と類似の効果を得るために裏ルートを使っている可能性が高いと指摘している。
報告書にはまた、ニューヨークタイムズがプーチンの停戦への「関心」なるものの動機として、2024年のロシア大統領選挙、戦争解決の「選択肢を開いておく」願望、西側の対ウクライナ支援が弱まっていると思われる状況の利用願望、イスラエル・ハマス戦争により「注意が逸れている」ことを挙げていると書かれている。その上でISWは、プーチンはロシアがウクライナへの再侵略に備えるための時間を確保するために一時的な停戦を求めているのだとし、ニューヨークタイムズが挙げた「動機」なるものは一時的な理由だと指摘している。
さらに、プーチンが最近、ウクライナに対する自身の最大主義的目的であるウクライナの「非ナチ化」「非武装化」「中立地位の強制」は変わっていないと繰り返したことが喚起されており、プーチンとクレムリン高官は、プーチンの目的がウクライナにおけるロシアのさらなる領土征服を排除するものではないことを示す発言をますます表明していると報告されている。
これに先立ち、米ニューヨークタイムズ紙は、ロシア、米国、その他の旧・現政権幹部の発言を参照して、プーチンが裏ルートや仲介者を使って、対ウクライナ戦争において停戦に関心があることを示すシグナルを送っているとする記事を掲載していた。