ロシアはウクライナの不満を煽るためにIl76墜落事件を利用している=米戦争研究所
ISWが1月24日付報告書の中で指摘している。
ISWは、現時点ではIl76事件の常用には評価を下しておらず、本件の双方の声明について独自に検証することもできないと伝えている。
同時に、ISWの専門家は、ロシアによる「ウクライナ捕虜が乗っていた」と主張するIl76をウクライナが撃墜したとの非難は、「ウクライナ国内に不満を撒き散らし、ウクライナ政府に対する不信を募らせることを意図したものであり、ウクライナ国内の弱体化を目的とするロシアのその他の情報活動と一致している」と説明している。
ISWはまた、捕虜交換はロシアにとってもウクライナにとっても機微な問題であることから、捕虜に関する呼びかけは予想通り感情的な反応を呼び起こしていると指摘した。
報告には、「さらに、ロシア政権関係者はウクライナがIl76を米国やドイツのミサイルシステムで撃墜したと無根拠の主張を行ったが、それはおそらく、ウクライナの西側パートナーにウクライナの継続的防衛のために必要な重要な防空システムの供給を思いとどまらせようとする試みだろう」と開設されている。
これに先立ち、24日、ロシアの複数のテレグラム・チャンネルが、露ベルゴロド州で、装備品や兵員の輸送に使用されているIl76が墜落したと伝えていた。ロシアの報道機関は当初、機内には63名の人物が乗っていたが、全員が死亡したと報じていた。
ウクライナ情報総局は、1月24日には、ウクライナとロシアの間で捕虜の交換が行われるはずだったが、行われなかったと発表した。ロシア側は、Il76にはウクライナ捕虜を移送していたので、それが撃墜されたせいだと主張している。情報総局は、現時点で、同機に誰が乗っていたか、何人乗っていたかということにつき、正確かつ完全な情報を有していないと伝えている。
ゼレンシキー大統領は、本件のあらゆる状況の解明が必要だとし、同状況の国際捜査を主張していくと発言した。