ウクライナ国会、新しい動員法案を第二読会で採択
ジェレズニャク最高会議野党会派「声党」議員がテレグラム・チャンネルで報告した。
最高会議議員283名が賛成したという(過半数は226)。反対1名。
政党別では、与党会派「人民奉仕者党」192名の他、野党会派・グループから「祖国党」2名、「声党」18名、「生活・平和プラットフォーム」18名、「復興」16名、「未来」12名、「信頼」15名、無所属12名が賛成票を投じた。欧州連帯党は、一人も賛成票を投じなかった。
採択された法案によれば、動員・徴兵対象とならないのは以下などのカテゴリーの国民となる。
・特定の機関・企業に付与されている徴兵除外枠が適用されている者
・障害者として認められている者、あるいは、軍事医療委員会の結論により、健康状態により一時的に(6〜12か月)兵役がこなせないと診断されている者。
・18歳未満の児童が3人以上養育する男女、
・18歳未満の児童がいて、その児童の片方の親が死亡している、親権を剥奪されている、行方不明とみなされている、死亡したと発表されている、拘禁されている男女。あるいは、人物が一人で児童を養育している、裁判所の判断で児童を擁している等の場合。
・18歳未満の障害を持つ児童を養育している両親、保護者、養育者。
・重病にかかっている児童を養育している両親、保護者、養育者。
・第1・第2類障害を持つ成人の子を持つ両親。
・行動できないと裁判所に判断できない人物の世話人。
・第1・第2類障害を持つ配偶者を持つ者。
・癌、四肢、手、足先、対になる臓器の欠損による第3類障害を持つ配偶者を持つ者。あるいは、第3類障害を持つ者で、癌、精神障害、脳性麻痺、その他麻痺症候群を持つ配偶者を持つ者。
・18歳未満の児童を持ち、片方の親が兵役中のもう一方の親。
また、兵役への動機を高める規範として、国防省と契約した軍人は、部隊を自ら選べる機会が定められている。
ロシア側の兵器・機材の破壊・鹵獲による追加の休暇・報奨については、別途法律と政府決定で定められる。
年次基本休暇は1年間に分割して付与され、主要な連続休暇は15日以上となる。
戒厳令下に戦闘圏に直接滞在していた場合の1か月間の勤務は兵役3か月間として換算される。
捕虜から解放された後、希望すれば、経済的支援を維持した上で90日間の追加休暇を得られる。
国外での長期治療が必要な場合、遠隔で軍事医療委員会にアクセスする機会が生じる。その場合の軍事医療委員会の関連の証明書は、経済的・物質的支援供与を維持する上での根拠となる。
障害を有する人物と敵の拘束から解放された者の除隊権利が定められている。
軍人が死亡した場合の一度限りの経済的支援の額は、1500万フリヴニャとなる。
住宅ローンの頭金の50%の補償、および兵役1年後に10万フリヴニャ、2年後にさらに10万フリヴニャを追加補償として受け取る権利を得る。
また、限定的能力のある兵役義務者は、本法律発効後12か月以内に、もう一度軍事医療委員会の診断を受けなければならない。
さらに、2022年2月24日以降に第2・第3類障害の診断を受けた兵役義務者(兵役についている者除く)は、兵役能力認定のためにもう一度診断を受けなければならない。
兵役登録証明書を持たない18〜60歳の男性への領事サービス提供に制限が設けられる。
地域採用・社会支援センター(徴兵機関)からの要請により、軍役登録情報の更新をしておらず、動員から逃れている男性は、自動車の運転の権利が制限される可能性がある。
兵役義務のある国民の義務の1つとして、兵役義務者が動員中に健康診断を受け、行政サービス提供センター、領域採用・社会支援センターあるいは(新設のオンラインで利用できる)「電子キャビネット」で自らの情報を更新することが含まれている。
同時に、戒厳令下では、国民は兵役登録証明書を携帯することが義務付けられる。
その他、最高会議は、賛成227票で、兵役36か月経過後の除隊に関する規範を同法案が除外した。
これに先立ち、ウクライナ最高会議の国家安全保障・国防委員会は9日、いわゆる「動員法案」の第二読会に向けた法案本文を確定していた。
また、最高会議は、2月7日に第10449「軍役、動員、軍籍の個別問題に関する複数のウクライナ法の改正法案」、通称「動員法案」を第一読会で採択していた。
最高会議国家安全保障・防衛・情報委員会は、同法案の第二読会審議に向けた作業を2月27日に開始していた。
訂正(12日8時43分):読解→読会