ロシア占領下ドネツィクの拷問者に禁錮15年判決
公共放送局「ススピーリネ」が報じた。
裁判所は、クリコウシキー被告人を有罪年、全資産を没収した上で15年間の禁錮刑を定めた。なお、刑期は、被告人が拘束された2021年11月9日を起点に計算されるという。
クリコウシキー氏の主要な罪状の根拠は、戦争法・戦争慣習違反と捕虜・民間人に対する残酷な扱いを定める刑法典第438条だという。
長らくドネツィク市の拷問執行所「イゾリャーツィヤ」にて拘束され、その後解放された記者のスタニスラウ・アシェーイェウ氏は、クリコウシキー氏から拘束時に激しい暴力を受けたことを証言していた。アシェーイェウ氏は、殴打される人々が叫び声をあげると、クリコウシキー氏は他の拘束者にソ連時代の歌を歌わせ、叫び声をかき消させていたと伝えている。
なお、2021年11月、ウクライナ保安庁(SBU)が、同庁防諜職員がキーウ市内にて、テロ組織「DPR」の元戦闘員であり、被占領下ドネツィク市の拷問執行所「イゾリャーツィヤ」のトップを務めていたクリコウシキー容疑者を拘束したと発表していた。その際、SBUは、この人物は違法に拘束したウクライナ国民の殺人・拷問を組織し、自ら執行していた人物であると伝えていた。
クリコウシキー自身、イゾリャーツィヤでの拷問や尋問に参加していたことを認めている。
本件の捜査は2022年6月に終了し、その後本件の裁判が始まっていた。
「イゾリャーツィヤ」は、2010年以降は、ドネツィク市の工場跡を利用して様々な芸術・文化イベントを行う同名の団体の施設として知られていた場所。2014年、ロシアによるウクライナ侵略が始まり、ドネツィク市が占領されると、ロシア武装集団「DPR」によりイゾリャーツィヤの敷地は占拠された。国連の報告書や被拘束者の証言により、同敷地はその後、武装集団により親ウクライナ的な被拘束者を中心に拷問する場所として利用されていることが伝えられていた。
写真:オレフ・ホルバチョウ(フェイスブック)