ウクライナ東部のロシア戦闘員、OSCE監視団の移動許可せず
25日、SMMが本件につき個別報告書第48/2021を発行した。
報告書には、「12月25日朝、ルハンシク州の武装集団は、SMMの非政府管理地域(編集注:被占領地のこと)への移動を拒否し、また遅延させた。SMMは、政府管理地域から移動していた」と書かれている。
報告書には、移動拒否が発生したのは同日9時7分で、ルハンシク州のゾロテー地区の兵力・機器引き離し地点の南端付近のロシア武装集団側検問地点にて、SMM要員が引き離し地点へのアクセスを拒否されたと書かれている。さらに、9時55分、同ゾロテー地区の引き離し地点の南端北側350メートル地点にて、SMMの移動が禁止されたとも報告された。いずれも、ロシア武装集団は、移動不許可を「SMMの安全の考慮」が理由だと説明したという。
また移動許可遅延が発生したのは、同日10時2分、SMM要員がルハンシク州のスタニツャ・ルハンシカ近郊南方の武装集団側検問地点へ向かっていた際で、2時間16分にわたり移動が認められなかったことが報告されている。戦闘員は、その拘束を「事前報告がなかった」からだと説明していたという。
なお、ウクライナ東部に駐留するロシア連邦占領軍は、11月以降、OSCE・SMMパトロール要員の衝突ラインの越境を繰り返し妨害している。
11月27日、リンデOSCE議長(スウェーデン外相)とシュミドOSCE事務総長は、ウクライナ東部のロシア武装集団によるOSCE特別監視団(SMM)のパトロールのための移動に対する制限を行わないよう呼びかけている。OSCEは、常設理事会の第1117決定により、SMMはウクライナ全土にて安全かつ確実なアクセスを得ることが定められていることを喚起しており、「全ての地域への制限なく無条件なアクセスが、治安状況の効果的な監視と報告やその他のマンデートのある課題の遂行を確保する上で決定的に重要である」と説明している。
また、12月10日、欧州連合(EU)は、ウクライナ東部のウクライナ政府が管理できていない地域にてOSCE・SMMの活動をロシア連邦が最小化しようとしていることを懸念しているとする声明を発出していた。
さらに、12月15日、ロシア占領軍の戦闘員は、欧州安全保障協力機構(OSCE)ウクライナ特別監視団(SMM)の無人機に対して銃撃を行っている。
写真:OSCE・SMM