ロシアはモルドバ領トランスニストリアから軍を撤退させねばならない=NATO事務総長
ストルテンベルグNATO事務総長がソーシャルメディア「X」アカウントに書き込んだ。
ストルテンベルグ氏は、「私たちの大切なパートナー国モルドバのドリン・レチェアン首相と会えて嬉しい。NATOはあなた方の主権と領土一体性を完全に支持しており、私たちはロシアに対してあなた方の領土から自国軍を完全に撤退させることを要請している。あなた方は、NATOの支援を当てにし続けて良い」と書き込んだ。
また、モルドバのニュースサイト「ニュースメーカー」の報道によれば、ストルテンベルグ氏は、レチェアン首相との共同記者会見時に、ロシアはモルドバに対して圧力をかけ続けており、同国社会の不安定化と民主主義の弱体化を狙って、エネルギー脅迫や偽情報拡散を行っていると指摘した。
同時に同氏は、「しかし、モルドバは、それに対して、ロシアの対ウクライナ侵略を非難し、自らの強靭性と国全体の安全を強めることで対応した」と強調した。
同記者会見時、レチェアン・モルドバ首相は、「私たちは、自国の防衛能力を強化している。ロシアのウクライナにおける侵略により、私たちは自国社会、機構の強靭性や私たちの防衛能力の強化のための努力をより多く行わねばならなくなっている」と述べた上で、モルドバは防衛能力を強めており、モルドバ軍の相互運用性を強化するのに役立つ国際ミッションや共同軍事演習に参加する準備があると発言した。
なお、モルドバ領トランスニストリア地域には、90年代から第14ロシア軍が駐留している。1999年、欧州安全保障協力機構(OSCE)イスタンブル首脳会談にて、ロシア連邦は2002年末までに同地から軍と弾薬を撤退することが義務付けられたが、ロシアは現在までこれを履行していない。
2017年、モルドバ憲法裁判所は、ロシア軍のトランスニストリア地域への駐留は国家の中立に反するものだと認定している。
2022年3月15日、欧州評議会議員総会は、このロシア軍の違法駐留の続くモルドバ領トランスニストリア地域を「被占領下」と定める決議を採択している。
サンドゥ・モルドバ大統領は、同国がロシアに対して、モルドバ領トランスニストリア地域からのロシア軍、兵器、弾薬の撤退・撤収を要求していることを繰り返し喚起している。またサンドゥ氏は、2023年8月、モルドバは国内のトランスニストリア紛争につき、平和的な手段でのみの解決を望んでいるとしつつ、ロシアの対ウクライナ戦争にてウクライナが勝利した際には、トランスニストリア紛争解決に向けた地政学的な機会が生じるかもしれないと発言していた。
また、ウクライナのゼレンシキー大統領は2023年6月1日、モルドバが抱えるトランスニストリア占領地問題につき、モルドバ首脳陣から要請があれば、ウクライナは対応し、同国を支援し得ると発言している。