日本政府、国連機関を通じてウクライナの軍病院に医療機材を供与
5日、ウクライナ国防省広報室がキーウ中央軍病院で行われた引き渡しにつき伝えた。
発表によれば、引き渡し式には、松田邦紀駐ウクライナ日本大使、カルムコヴァ宇国防次官、カズミルチューク宇軍医療部隊司令官、コリスニク中央軍病院院長、ラードナー・ユノプス・ウクライナ代表が出席した。
カルミコヴァ国防次官は、「周知の通り、技術は戦場でも病院でも人の命を変えている。戦場では、技術がウクライナ軍が勝利を可能にしている。そして病院では、医療従事者の手にある技術がウクライナの戦士等の命を救っている。あなた方の努力のおかげで、私たちの医師は、負傷者の特性を考慮しながら支援を提供する最適な手段を決めることができている。私たちは、揺らがないウクライナ支援と人命救助への献身に感謝している。私たちは、私たちの将来の協力を心待ちにしている」と発言した。
今回のプロジェクトでは、5台の最新医療機器が供与されたとし、キーウの軍臨床病院の他、南部地域軍医療診療センター(オデーサ)とスタロコスチャンティニウ軍医療施設(フメリニツィキー州)が機材を受け取ったという。
松田大使は、「この共同プロジェクトは、日本の人道努力と二国間協力へのコミットメントを反映する、ウクライナの保健インフラ強化における重要な一歩である。施設へ提供された日本製の機材のおかげで、ウクライナは年間でおよそ1万5500人の傷病兵を治療することができる」と発言した。
ラードナー・ユノプス・ウクライナ代表は、「私たちの日本政府との強力は、必要な医療機器の提供を可能にしただけでなく、医療従事者に包括的な訓練を与えることも可能としており、それが保健体制の持続可能な成長の確保を促してきた」と指摘した。
今回のプロジェクトでは、脳神経外科手術用顕微鏡、可動式X線透視装置、ビデオ内視鏡システム、2台の超音波診断装置(キヤノン社製「Aplio i700」)が供与されたという。
また、各医療施設の医療スタッフと医者のために供与機材の取り扱い研修がすでに行われたと発表されている。
なお、日本政府によるウクライナ軍病院への医療機材供与支援は、ロシアによる全面侵略戦争の開始前から続いているもの。2022年7月には、ウクライナの複数地域の軍事医療センターが、日本の支援で移動式X線装置、透視X線装置、電気外科用腹腔鏡システム、電気外科用内視鏡システムを受け取っている。
また、2021年には、日本政府からキーウ州イルピン市のウクライナ軍病院へのX線テレビシステムが、2019年には、軍病院に人工肺換気装置(ベンチレーター)2機、麻酔装置、救急セットが供与されている。
写真:国防省