「ウクライナは核兵器ではなくNATO加盟を選んでいる」=ゼレンシキー宇大統領
ゼレンシキー大統領が欧州理事会会合出席後の記者会見時に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
ゼレンシキー氏は、「何よりまず、私たちは、NATOに関して、バイデン米大統領と話し、またカマラ・ハリス(米副大統領)とドナルド・トランプ(前米大統領)とも話したことを述べたい。私にとって、私たちが強化されることが非常に重要であり、その最初の一歩は『招待』である。しかし、それは戦後に生じ得るということを理解した上での、将来私たちがNATO加盟国になるということを意味している」と発言した。
同氏はまた、「私たちは、戦争がいつ終わるか知らない」と述べつつ、しかし、「私たちが強くなればなるほど、終結と公正な平和の外交的決定が訪れるのが早くなる」と指摘した。
同時に同氏は、「NATOは、米国にとって機微なテーマだ。これまでずっと、彼らは、NATOにとって、それは同盟を戦争に引き摺り込むことだと考えてきた。ウクライナをNATOに招待することですら、あたかもレッドラインだと(編集注:考えられてきた)。私の考えでは、それは法的に間違っているし、公正でないと思う。もしあなた方が、ウクライナがNATOに加盟することを、単に口にするだけでなく、本当に望んでいるなら、それは行動と一致せねばならないし、それは欧州大陸の安全保障にとって非常に重要なことなのだ。言葉は、常に行動と一緒に進まねばならない。だから、『招待』なのだ。私は、どのようなレッドラインも存在しないと思っている。だいたい誰との(編集注:レッドライン)なのだ? 殺人者とのレッドライン? だから、『招待』なのだ。それこそが予防措置であり、プーチンが世界中の道筋を変えるのではなく、反対に、世界中が世界のルールの外で生き始めた侵略者を変える準備があることを示すことなのだ。だから私にとって、この問題は重要なのだ」と発言した。
その他ゼレンシキー氏は、トランプ前米大統領と本件についてのやりとりについて伝えた。
同氏は、「私は、トランプ氏とNATOについて話した。なぜなら、メディアで、NATOについて、ウクライナのNATO加盟についてなどの様々なシグナルが出ていたからだ。私は、ブダペスト覚書の例を出した。私は、それはわかりやすい例だと思っている。ウクライナはブダペスト覚書を持っていた。そこには、核保有国がいた(編集注:署名した)。影響力を持ち、核兵器を保有する世界最大級の国だ。その国の中には、当然米国、中国、ロシア、フランスがいた(編集注:+英国)。核兵器能力を保有する、間違いなく大国である。どうしてこれらの国と(編集注:締結したか)? ウクライナにとっての条件は、核兵器の明け渡しだった。ウクライナには非常に大量にあった」と発言した。
そして同氏は、ブダペスト覚書で署名国は1991年に国際的に認められた国境内でのウクライナの領土一体性と主権を保証しなければいけなかったと喚起し、「それがその文書に書かれていたことだ。そして、ロシアは同覚書の保証国だったのにその文書を破ったのであり、どうしてその文書を信じることができるというのだ? そして、私たちの領土一体性と主権の維持を保証していた全てのパートナー国をどうやって信じることができるというのだ? 答えは、非常にシンプルだ。それ(覚書)は機能しているか? 否、機能していない。その他の大国パートナーとロシアの合意は機能しているか? 否、機能していない」と指摘した。
その上で同氏は、「つまり、総じて、それら合意は全て機能しなかったのだ。その核保有の大国の内、どの国が苦しんだか? 全ての国か? 否、苦しんだのはウクライナだけだ。誰が核兵器を明け渡したのか? 全ての国か? 否、一国だけだ。どの国? ウクライナだ。どの国が今戦っているのか? ウクライナだ。だからこそ、私たちのドナルド・トランプ氏とのやりとりにて、私はこう言ったのだ。私たちのところがこうなっている中で、どのような出口があるだろうか? ウクライナに核兵器が現れたら、そうなれば防衛となる。あるいは、私たちは何らかの同盟を得なければならない。NATO以外に現在、私たちは効果的な同盟を知らない。NATO加盟国は、現在戦争の中にない。NATO加盟国は戦っていない。NATO加盟国の人々は皆生きている。幸いなことに! だから私たちは、核兵器ではなく、NATOを選んでいるのだ。私たちはNATOを選んでいる」と発言した。
ゼレンシキー氏は、その際トランプ氏は本件についての彼の意見を聞いてくれたとし、「彼は、『あなたの論拠はフェアだ』と言った。思うに、それが大切だ。この戦争は長引いているし、プーチンは私たちを捕まえて、長らくこれ(戦争)をしている。彼は最初に私たちのエネルギー面の独立を壊し、それから領土一体性も壊した。つまり、ずっと前からなのだ。ウクライナにおける国家機関全てにロシアの影響を受けていた。私たちの情報機関から詳細を受け取ると良い。私たちの保安庁からだ。ウクライナの全ての法執行機関には、ロシア連邦の代表者がいた。それは、主権の喪失でもあり、その後、全面侵攻によって領土の喪失となるのだ」と発言した。
写真:大統領府