「一切の代替を受け入れない」=ウクライナ、NATO加盟による安全の保証を改めて主張
ウクライナ外務省がブダペスト覚書署名から30周年を記念した声明にて主張した。
外務省は、「ブダペスト覚書署名から30周年というのは、ウクライナがワシントン条約(編集注:北大西洋条約)へのウクライナの合流への効果的な一歩のために適した機会である」と指摘した。
声明には、ブダペスト覚書がウクライナに対して、世界第3の保有量の核兵器を断念する代わりに、保有安全、主権、領土一体性の保証を提供するはずだったと喚起されている。
そして外務省は、ブダペスト覚書は核兵器保有国ロシアによる核放棄国ウクライナに対する侵略を防ぐことができなかったと指摘した上で、「ウクライナが繰り返し主導しようとしてきた、覚書が定めている協議すらも開催されることはなかった」と強調した。
そして同省は、今日ブダペスト覚書は、「戦略的安全保障決定の採択における近視眼性の記念碑」となっていると指摘した。
さらに同省は、1990年代にウクライナに対して真の効果的な安全の保証を提供しなかったことが、ロシアが後に利用することになった、戦略的な過ちだと強調した。その際同省は、「その過ちは、正されなければならない。ウクライナは、グローバルな核軍縮と国際平和・安全の維持への大きな貢献に応える、明確で法的義務のある安全の保証を受け取るべきだ。ブダペスト覚書に署名した米国と英国、それに合流したフランスと中国、核兵器不拡散条約の全ての加盟国に対して、ウクライナに効果的な安全の保証を提供することを支持するよう要請する」と訴えた。
さらに同省は、ウクライナにとっての唯一のそのような真の安全の保証であり、ウクライナやその他の国に対するロシアのさらなる侵略への抑止要素となるのは、ウクライナのNATO完全加盟しかないと指摘した。
その上で同省は、「私たちは、ブダペスト覚書の苦い経験を抱いており、NATOのウクライナの完全加盟のいかなる代理、代用、代替も受け入れることはない。ウクライナをNATOに今招待することが、ロシアの脅迫への効果的な対抗となり、ウクライナへの欧州大西洋統合を破綻させる可能性に関するクレムリンの幻想を剥奪するのだ。それはまた、核不拡散の主要原則の侵食を止め、核軍縮への信頼を回復する唯一のチャンスでもある」と強調した。
なお、2024年12月5日、ブダペスト覚書署名から30年が経過する。