ゼレンシキー大統領、クリミア・プラットフォーム首脳会談で演説 「脱占領問題を国際議題の頂点に押し上げた」
ゼレンシキー大統領がクリミア・プラットフォーム立ち上げ首脳会談の際に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
大統領は、「今日、2021年8月23日、非常に重要で、象徴的な出来事が起きている。ウクライナの半島が占領されてから初めて、この問題が国際レベルの最も高い位置に押し上げられている。私は、私たちのクリミア・プラットフォームの第1回首脳会談の参加者、46か国全ての代表団を心から歓迎する」と発言した。
またゼレンシキー大統領は、「クリミアの占領は、国際安全保障システム全体、領土一体性・国境不可侵の原則の効力を疑義に晒している。その効力への信頼のへの回復がなければ、いかなる国も、自分が領土占領の次の犠牲者にならないとは確信できないのだ」と強調した。
大統領は、現在、クリミアにて政治的迫害、強制失踪、100名以上の政治囚の違法な拘束、拷問、自由・報道・信仰の抑圧、資産の接収、強制的な人口構成の変更、ウクライナ国民のロシア軍への違法な徴兵、学校での戦争プロパガンダ拡散という、悲しい現実があると指摘した。
写真:大統領府
その上で大統領は、「ウクライナも私個人も、クリミアが戻るよう、クリミアがウクライナとともに欧州の一部となるよう、あらゆる可能なことを行っていく。そのために、私たちは、あらゆる可能な政治的、法的、外交的手段を利用していく」と強調した。
その他大統領は、今年の3月、クリミア脱占領・再統合戦略が採択されたことを喚起し、「これはウクライナが私たちの半島の脱占領問題において具体的な行動を定めた最初の根源的な文書だ」と発言した。
大統領はまた、最近先住民法が採択されたことを指摘し、同法がクリミア・タタール人コミュニティの地位と権利を確立すると発言した。また、恥ずべき「クリミア自由経済圏」法も破棄されたと発言した。
その他、大統領は、ロシアはクリミアの占領開始後、現地の軍事プレゼンスを3倍に拡大したと指摘し、「世界的に有名だったリゾートは、今は軍事基地に変貌しており、ロシア連邦が黒海地域への影響力をさらに拡大するための訓練場となっている」と指摘した。
大統領はまた、国連安全保障理事会常任理事国であり、ブダペスト覚書に従いウクライナの安全を保証する国であるはずのロシア連邦が、クリミアを占領したことを喚起した。
さらにクリミア・プラットフォーム首脳会談の開始時に演奏された歌手ジャマラの「1944」の曲に言及しつつ、クリミアから20万人以上のクリミア・タタール民族全体を追放し、その後その40%が亡くなるという、1944年の悲劇的な出来事を喚起した。
その上で大統領は、クリミア・プラットフォームの役割につき、「クリミアに関する重要国際決定の作成と採択の中心地となるべき」だとし、「今日から私たちは実質的に私たちの大地、ウクライナの半島の解放に向けたカウントダウンを始めることになる」と強調した。大統領は、2021年8月23日には、クリミア脱占領の開始の日として歴史に刻まれるだろうとし、「クリミア半島の占領はモスクワにて始まった。クリミアの脱占領は、間違いなく私たちがキーウにて始める。始めよう」と強調した。
8月23日、キーウでは、クリミア・プラットフォーム第1回首脳会談が開催されている。事前発表では、同首脳会談には45か国が参加。とりわけ、ラトビア、リトアニア、エストニア、ポーランド、スロバキア、ハンガリー、モルドバ、スロベニア、フィンランドからは大統領が出席している。欧州理事会からは議長が参加。ルーマニア、ジョージア、クロアチア、スウェーデンからは首相、スイス、チェコからは国会議長が出席している。トルコ、フランス、スペイン、イタリア、ベルギー、オーストリア、オランダ、ルクセンブルグ、デンマーク、ブルガリア、モンテネグロ、北マケドニアからは外相が参加。米国、英国、ドイツからは閣僚が参加。日本は、駐ウクライナ大使が出席している。