ゼレンシキー大統領、スロバキアにロシア・エネルギーへの依存の危険を説明
大統領府がゼレンシキー大統領の演説動画を公開した。
ゼレンシキー氏は、「私たちの友人は、ウクライナが経験してきた過ちから学ぶことができる。ロシアのエネルギーは、単なる商品ではない。そのエネルギーは断念すべきである。何よりも石油だ。なぜなら、それは自由の問題だからだ。そう、自由の保護には価値がある」と発言し、またロシアは欧州大陸全体を服従させるために、天然ガスも利用しようとしていると補足した。
また同氏は、現在欧州連合(EU)は第6制裁パッケージの内容に合意しようとしており、そこにはエネルギー制限が含まれていると述べつつ、同時に、その制裁がスロバキアやその他複数の国家にとって困難であることは理解しているとも発言した(編集注:EU内では、スロバキアとハンガリーが特にロシア産石油に大きく依存している)。
同時に同氏は、ロシアの政治家から、「お得な」条件だとして、全くもって市場価格とは異なる、安い価格でエネルギーを提案された、ウクライナの過去の経験について説明した。同氏は、そのような「お得な」条件は、実際は何よりロシアにとって都合の良いものなのだと指摘した。
同氏は、最近までウクライナはロシア国営天然ガス企業にとって最大の市場の一つであったとし、それにより、ウクライナはロシア産ガスだけでなく、ロシアの政治的決定にも依存していたと発言した。そして、「(エネルギー)供給につき、市場の条件に移行しようとするだけでも、ガス戦争が生じていたのだ。結果、隷属的ガス合意が生まれ、それが私たちの主権に対する直接的脅威を生み出していた」と発言した。
さらに同氏は、黒海艦隊のクリミアへの駐留に関するロシアとのもう一つの合意についても説明し、見せかけの値下げガス価格と同艦隊のウクライナ領への駐留が結びつけられていたことを指摘した(編集注:2010年のいわゆる「ハルキウ合意」)。同氏は、その黒海艦隊の存在は、領土占領、クリミアのウクライナ住民へのロシア国籍ばらまき、プロパガンダ拡散、ゆっくりとした併合を覆い隠すものであったと発言した。
その上で、同氏は、「それが私たちの歴史に起きたことだ。それは、ロシアの政治的依存にはまってしまう可能性が1%でもあり得る全ての友人に対して、回避すべきだと忠告していることだ。私たちは、ロシアが気に入らなくなった時に、どのように合意を破るのか、最初に目撃した。ロシアが外国を自らの横に縛り付けるために、商業的繋がりをどのように鎖に変えるのかを見てきた」と強調した。
なお、ゼレンシキー宇大統領は、8日のG7首脳会談にも出席し、G7首脳たちに対して、ウクライナをサポートするための、武器供与、財政支援、石油禁輸など対露制裁強化、復興支援といった手段を提案していた。
日本の岸田首相は同会談に出席した際に、日本もロシア産石油の原則禁輸措置を取ることにしたと発表している。
写真:大統領府