いくつかの西側報道機関にて、欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)の加盟国にて、あたかもウクライナに提供されている西側の武器が「密輸されるおそれがある」という印象操作的な予想記事が現れ始めている。
通常、EUやNATOは、情報政策上、そのような報道における予想や第三者の発言に対して、コメントを行わない。そこで、ウクルインフォルムは、直接EUとNATOに対して、彼らの側からのウクライナに提供されている武器やその他軍事装備の使用管理がどれだけ効果的なのか、彼らにそのような武器のウクライナのさらなる使用に関して懸念するような根拠があるのかについて質問した。
その結果、私たちは、EUのピーター・スタノ報道官(外交・安全保障政策担当)から回答を得た。
聞き手:ドミトロー・シュクルコ(ブリュッセル)
EUはウクライナ軍の必要にもとづき武器を供給している
ロシアの侵攻が始まるまでに、ウクライナには米国・EUの公的機関の支援を受けて強固な武器輸出管理システムが作られています。あなたは、戦時下においても同システムが維持されていると思いますか。
現在ウクライナは、ロシアからの敵意ある不当でいわれない侵略に対して戦っており、自国民を守るために武器を必要としています。EUは、ウクライナ軍の必要にもどつき、ウクライナ軍が使用する武器の供給に資金を出しています。
私たちは、EU加盟国が提供する装備が宣言された目的のために使われるよう、監視と管理のメカニズムを確立させています。私たちの支援は、強力な管理と保護方策の対象であり、それは支援が供給された後も同様です。それは、人権維持の国際的規範と人道法、また定期的な報告及び/又、その必要が生じたり、可能な条件が生じた場合の現場でのその装備の現状を確認する機会を考慮したそのような装備の使用の監視を含みます。
EUからの武器の移動の管理は、輸送時も輸送後も行われている
ウクライナの安全保障・国防分野の公的機関は外国パートナーやEUに対して、武器使用やその後の移動について報告していますか。
欧州平和ファシリティを利用して供給されている装備の移動管理手続きは、供給プロセス中にもその終了後にも確保されています。それは現在、ウクライナ軍との協力の下で、長期展望から実施されています。ウクライナは、それらの要素をEUが公式に認めるウクライナ軍による使用以外の何らかの別の目的に移譲しないこと、また、その他の国に再輸出しないことに義務を負っています。
EUにはウクライナ政府を信頼しないための根拠がない
NATOとEUには、ウクライナが西側から受け取っている武器の扱いにおいて、ウクライナ政府を信頼しないための何らかの根拠がありますか。
私たちは、NATOではなく、EUの名の下にのみ話すことができます。そして、私たちの回答は「いいえ」というシンプルなものです。私たちには、残酷な侵略から自らの国とウクライナの民を守るために戦っているウクライナ政府を信頼しないための理由はありません。
西側軍事支援の供給プロセスは、現在の状況が許す範囲で最大限透明なもの
西側の対ウクライナ軍事支援とその輸送・供給手段の透明さを今まで以上に確保することは可能ですか。
そのプロセスは、現在の状況が許す範囲で最大限透明なものです。ウクライナへ供給されている武器は侵略国ロシアによる敵対行為の潜在的対象となっていることも忘れないでおきましょう。しかし、EUの基金のおかげで実施されている供給の本質部分の情報は、EU理事会の決定に記載されています。私たちはそのような装備の供給に関するオペレーション部分の詳細には、わかりきった理由から、コメントしません。
EU・NATOのウクライナに対する軍事支援を破綻させることを目的としたロシアのプロパガンダはどれほど活発ですか。また、そのプロパガンダが最近活発になっているのはどのような理由からでしょうか。
私たちは、NATOの名の下に話すことはできませんが、EUの観点からは、ロシアのプロパガンダと偽情報は、そのような試みを非常に頻繁かつ大規模に行っています。実質的に、クレムリンや(編集注:ロシアの)国防省や外務省から出てくる情報は全て、そのような大規模プロパガンダか嘘となっています。ウクライナに対する武力侵略を行うのと並行して、ロシアはウクライナ、EU、NATOを対象とした集中的な偽情報キャンペーンを始めており、自らのウクライナに対する犯罪的攻撃を正当化しようとしたり、全世界の市民を騙そうとしたり、この侵略の開始の事実に関して印象操作をしようとしたりしています。