中国はロシアに戦争を止めさせるだけの影響力を十分に持っている=ゼレンシキー宇大統領
ゼレンシキー宇大統領がサウス・チャイナ・モーニング・ポストへのインタビュー時に発言した。
ゼレンシキー氏は、「中国は非常に強力な国家であり、強力な経済だ。(中略)そのため、同国は、政治的、経済的にロシアに影響を及ぼし得る。中国はまた、国連安全保障理事会の理事国でもある」と発言した。
また同氏は、ロシアによる全面的侵攻の開始以降、習中国国家主席と対話は、ウクライナ側は要請したものの、一度も行われていないと伝えた。そして、「私は、直接話がしたい。私は、習近平氏と1年前に一度話した。2月24日の全面的侵略の開始以降、私たちは対話について公式に要請したが、私たちは中国と全く話していない。ただし、私は、話は有益だと思っている」と発言した。
その他同氏は、中国が戦争に対して「バランスの取れた」姿勢を維持したがっていることは理解しているとしつつ、しかし、紛争の基本となっているのはロシアによるウクライナの主権領土へのいわれのない侵攻であるということが重要だと指摘した。
加えて、同氏は、「ロシア人は侵略者である。(中略)これは、私たちの領土の戦争であり、彼らがここへ侵攻してきたのだ。中国は、偉大で強力な国として、ロシア連邦を一定の場所に据えることができる。もちろん、私は、中国が自らのロシア連邦に対する姿勢を見直すことを強く望んでいる」と発言した。
同氏は、中国はプーチン氏に戦争を止めさせるべく、プーチン氏に対して経済的圧力をかけるテコを有しているとの見方を示した。そして、「私は、中国市場がなければ、ロシアは完全な経済的孤立を感じることになると確信している。それは中国が行い得ることだ。戦争が終わるまで、ロシアとの貿易を制限することである」と発言した。
また同氏は、ロシアはエネルギー価格の高騰による追加的収入を武器につかい、その武器でウクライナと戦闘していると指摘し、「それを止めなければならない」と強調した。
さらに同氏は、世界の食糧・エネルギー安全保障にとっての戦争の長期的影響に関して指摘し、ロシアのウクライナに対する戦争によって他国が食糧、燃料、防衛への支出を増やしたら、それは中国の輸出に悪影響を及ぼすかもしれないと発言した。同氏は、「人々は、中国からの製品ではなく、エネルギーのために支払いをしなくてはいけなくなる。中国からの輸出は減少する。それは100%確実だ」と発言した。
また同氏は、ロシアは西側の厳しい制裁を受けており、現在アジアの国々から半導体の供給を受けていると指摘した。その上で同氏は、ウクライナの情報機関は「中国においても効果的に活動している」とし、そのためウクライナ大統領府は、ロシアが本件(半導体供給)についてどの国に支援を求めているかよく把握していると発言した。
他方で、同氏は、「私は、世界中をロシアの専制主義に対抗するために団結させることに集中したいのであり、どの国が支援をしていて、どの国が支援していないのかと述べて、団結を弱めたくはない」と発言した。