ロシアの核脅迫がEUのウクライナ支援政策を変えることはない=EU上級代表
ボレル氏がストラスブールにおける欧州議会本会議でのスピーチの際に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
ボレル氏は、「ウクライナの戦場から良いニュースがある。ウクライナは、攻勢に転じている。戦争は新しい局面に入っている。そして、それは危険な局面だ。というのも、私たちが目を閉じてはいけない恐ろしいシナリオがあるからだ。ロシアは現在、従来の戦闘地域から撤退しているが、しかし、核兵器使用で脅迫をしている。そのシナリオは、言うまでもなく、懸念の源泉である。しかし、私たちは、私たちの対ウクライナ支援が弱まらないことを示さねばならない」と強調した。
また同氏は、ウクライナは、ドンバス地方、ザポリッジャ州、ヘルソン方面の3つの前線で進展を達成し続けていると述べ、ドンバス地方ではリマンを奪還しており、ザポリッジャ州ではマリウポリ方面への進展努力が行われていると伝えた。同時に同氏は、ロシアには数の面で大きな優位がまだあると指摘し、そのため、ウクライナ軍はインテリジェンス情報を利用し、ロシア軍の集積地を囲んでは「ポケット」を作り、ロシア軍が退却せざるを得ない状況を作るという、非常にフレキシブルな戦術を実行していると伝えた。そして同氏は、それによってウクライナ側は、潜在的な損失を減らすことができており、誰も予想できなかった成功を実現していると指摘した。
さらにボレル氏は、「状況は非常に緊迫している。ロシア兵は、実質的に、この戦争の目的を認識していない。追加の30万人の(ロシア)男性が前線に投入されるのだ。(中略)戦場で戦争に勝つ可能性があっても、しかし、その勝利の前にはまず『アイデアの戦争』に勝たなければならない。戦争とは、『価値の勝利』を巡る戦いでもあるのだから」と強調した。
同氏はまた、ロシアは現在、現在の経済面での困難や、エネルギー・食糧危機が現在のロシアがウクライナに対して始めた戦争の結果ではなく、対露制裁のせいだとして、世界を説得しようとしていると指摘し、まさにそのためにEUは、世界の国々に対して、真実を伝える外交的・政治的努力を継続しなければならないと強調した。また同氏は、EUは、同時に、食糧危機やエネルギー価格の高騰の被害を受けている最も脆弱な国々を一環して支援しなければならないとも発言した。
加えてボレル氏は、プーチン露大統領は現在の対立にて西側のリソースが底をつくこと、西側の民主主義が弱いことを期待していると指摘した。その上で同氏は、「過去の世界大戦の際同様に、彼(プーチン氏)は、『冬将軍』支援の到来を待っている。彼は、寒さ、天然ガス供給削減、低温の気候における高いエネルギー価格が、私たちのウクライナ支援継続の意志をくじくことを期待している。しかし、私たちのウクライナ支援は、私たちの真心の問題だけではない。ウクライナの戦いは私たち自身の闘いと密接に関係しているのであり、だからこそ私たちのウクライナ支援は完全なままでなければならない。現在そこで起きていることは、私たちの未来をも定めるものなのだ」と強調した。