ウクライナ国会、公務員の電子資産申告制度の再開を決定
最高会議議員329人が関連法案第9534を採択した(過半数は226)。ジェレズニャク最高会議野党会派「声党」議員がテレグラム・チャンネルで伝えた。
同採択により、公務に就く人物は戒厳令下であっても電子資産申告を行うことが義務付けられる。また、2021年から2023年の期間の申告もしなければならない。同時に資産登録は、今後1年間、引き続き一般公開されない(編集注:元々は一般公開されることを前提とした制度)。同時に、同期間であっても、国家汚職防止庁(NAPC)に対して自発的に資産を公開することを申請することは可能となっている。
また、軍事医療委員会や徴兵を行う機関に所属する者を除く軍人、捕虜、一時的被占領地在住国民は、戒厳令終了あるいは領土の脱占領まで資産申告義務から除外される。その場合、戒厳令終了や動員解除から90日以内に資産申告をしなければならない。
その他ジェレズニャク議員は、同法案採択に際して、同案に対する複数の修正提案が採択されたと報告した。採択されたのは、汚職対策法の対象となる人物リストの明確化、資産がある項目に記述してあり、他の項目に記述されていない場合は犯罪対象とならないようにする修正、数年間資産が申告されており、すでに一度確認がされている場合は、繰り返し確認することはできないようにする修正だという。
他方で、申告された資産を即時に一般公開することを定めた修正提案は、賛成数199で否決されたという。
なお、電子資産申告制度とは、ウクライナの汚職対策政策の一環として、2014年10月に法律が採択され、2016年8月に始まったもの。大統領、閣僚、議員、裁判官、検察官、地方自治体幹部、警察官などの政権高官が毎年資産を申告し、統一申告データベースに登録され、本来はその一部がオンライン上で公開されるという制度。汚職犯罪の防止を目的にしたものであり、担当国家機関である国家汚職防止庁(NAPC)が資産の不申告や不自然な資産の増減をモニターしている。
2022年2月24日にロシアによる全面侵略戦争が始まると、最高会議は、政権幹部の資産申告の義務プロセスを停止し、資産情報の提出を戒厳令解除後に行えば良いことを定めていた。今回の法改正は、この規定を変更するものとなる。
6月29日、国際通貨基金(IMF)は、現在の拡大信用供与(EFF)の下でのウクライナへの次の融資のために、ウクライナ政権が合意された期間内に、グッドガバナンスと汚職対策の関連法案を採択することへの期待を表明した。その際、IMFはウクライナの公務員による電子資産申告の義務手続きの再開を待っていると伝えている。