報道機関関係者追跡問題を受けてウクライナ保安庁の幹部解任=関係者
SBU関係者がウクルインフォルムに伝えた。解任の決定は、マリュクSBU長官が下したとし、ゼレンシキー宇大統領に決定案を送付し、大統領が関連大統領令に署名したのだという。
SBU関係者は、「SBU幹部の立場は明白だ。個別の職員の行動が、戦時下で多くのことを行っている庁全体に影を落とすことがあってはならない。クリミア橋破壊にはじまり、その他ユニークな特別作戦の実施や、ロシア領内の戦争犯罪者の処分に至るまでだ。デニス・ビフスの編集部を監視していた『幹部』は間違いなく責任を問われるべきだ。彼らは少なくとも前線に送られるべきだ」と発言した。
これに先立ち、1月16日、調査報道プロジェクトとして知られる「Bihus」のデニス・ビフス代表は、Bihusのメンバーが禁止された物品を使用したなどとする挑発的な内容の動画が拡散されたと発表し、さらに、メンバーが違法に尾行されたり、盗聴されたりしてきたと発表した。
2月5日、調査報道プロジェクト「ビフス・インフォ」は、2023年12月27日に同グループ編集部が滞在した休暇施設の部屋に隠しカメラを設置した作戦を実施した人物を特定したと発表していた。同休暇施設の監視カメラの動画により特定できたという。
ビフスの記者たちは、「同作戦を担当していたのは、SBUの国家性保護局である。動画から判断するに、機材の設置には、SBU作戦技術支援局も関与した」と発表していた。
SBUは同日、同局に関する人事決定を採択したと公表していた。
ウクライナの報道機関を調査する市民団体「マス情報研究所(IMI)」のオクサーナ・ロマニューク所長は1月16日、ウクライナの報道関係者が体系的な圧力を受けているとして、政権に対応を要求した。同氏は、メディアを狙った攻撃、追跡、秘密裏の動画撮影というのは、民主国家では看過し得ないものだと訴えていた。
また、同国最高会議(国会)で「表現の自由」委員会の委員長を務めるヤロスラウ・ユルチシン委員長(野党会派「声党」所属)は、法執行機関に対する要請を準備しているとコメントしていた。
ゼレンシキー大統領は1月17日、最近国内で起きている報道関係者に対する攻撃事案につき、記者に対する圧力はどんなものも看過できないとコメントしている。
ウクライナに駐在するG7の大使からなる「G7大使ウクライナ・サポート・グループ」は同29日、同国の報道の自由の状況を議論するために、ビフス代表やウクルインフォルム副総裁を含むウクライナの複数報道機関の関係者と会談していた。