モルドバ被占領地のロシア軍部隊はウクライナに脅威をもたらしていない=ウクライナ軍報道官
フメニューク氏がテレビ番組「統一ニュース」出演時に発言した。
フメニューク氏は、「状況は(ウクライナ)防衛戦力の制御下にあり続けている。非承認トランスニストリア地域との間の国境地域に関して言えば、それは理想的に守られており、強化されており、そこの防衛は、全面侵攻の前からずっと、国境警備隊部隊だけでなく、防衛戦力のその他の部隊によっても確保されている。私たちは、最初から、そこにロシア軍部隊が存在することから、その方面がかなり危険であることを認識していたし、完全な制御を維持し続けている。現在私たちは、情報攻撃以上のものは何もないと言うことができる。そのトランスニストリアにいる部隊を私たちがはっきりと分析しており、私たちはその集中度、内部構成、兵員数を把握しており、それにどうやって適切に対峙するかを完全に理解しているため、それは当然である」と発言した。
そして同氏は、民間人に対して、そのロシア具舞台は危機的な脅威をもたらしていないと指摘し、あり得るのは情報構成、国境付近の銃撃のような挑発行為だけだと発言した。
これに先立ち、2月28日、被占領下モルドバ領トランスニストリアの非承認「国家」の「議員」は、ロシアの上下院に対して、「モルドバからの圧力強化」があると主張した上で、ロシアから同非承認「国家」の保護のための方策実現を要請する決定を採択していた。
ポプショイ・モルドバ外相は2月29日、同国の被占領下トランスニストリア地域ティラスポリで開かれた「全議員大会」がロシアに対して「支援」を求めたことにつき、それはハイブリッド戦争の要素であり、モルドバ情勢を不安定化させる試みだと発言した。
ニュースメーカーは、2024年初頭にモルドバ政府がトランスニストリアに位置する企業への関税優遇措置を取り消し、これが非承認「国家」の激しい反応を呼び起こしたと説明している。非承認「国家政権」は、ティラスポリでモルドバに反対する抗議を組織したという。
2月28日はティラスポリで「全議員大会」が開催。同大会には、非承認「国家」の「首長」であるヴァディム・クラスノシルスキーも出席した。同大会は7回目。なお、前回の大会は2006年に開催されており、その際、トランスニストリアのロシアへの編入を問ういわゆる「住民投票」と呼ばれるものの実施を採決していた。同年、いわゆる「住民投票」と呼ばれるものが実施され、投票者の90%以上がロシアへの編入を支持する「結果」が出たと発表されていた。
国際社会もモルドバも、同「住民投票」と呼ばれるものの結果を認めていない。
今年2月、ロシアのラヴロフ外相は、モルドバの被占領下トランスニストリア地域で暮らす、ロシアが「ロシア系」だと主張する住民の運命を「懸念する」と発言していた。これに対して、シェウチェンコ駐モルドバ・ウクライナ大使は、それはモルドバ情勢を不安定化させる試みだとコメントした。
モルドバ領トランスニストリア地域には、90年代から第14ロシア軍が駐留している。1999年、欧州安全保障協力機構(OSCE)イスタンブル首脳会談にて、ロシア連邦は2002年末までに同地から軍と弾薬を撤退することが義務付けられたが、ロシアは現在までこれを履行していない。
2017年、モルドバ憲法裁判所は、ロシア軍のトランスニストリア地域への駐留は国家の中立に反するものだと認定している。
2022年3月15日、欧州評議会議員総会は、このロシア軍の違法駐留の続くモルドバ領トランスニストリア地域を「被占領下」と定める決議を採択している。
サンドゥ・モルドバ大統領は、同国がロシアに対して、モルドバ領トランスニストリア地域からのロシア軍、兵器、弾薬の撤退・撤収を要求していることを繰り返し喚起している。またサンドゥ氏は、2023年8月、モルドバは国内のトランスニストリア紛争につき、平和的な手段でのみの解決を望んでいるとしつつ、ロシアの対ウクライナ戦争にてウクライナが勝利した際には、トランスニストリア紛争解決に向けた地政学的な機会が生じるかもしれないと発言していた。
また、ウクライナのゼレンシキー大統領は2023年6月1日、モルドバが抱えるトランスニストリア占領地問題につき、モルドバ首脳陣から要請があれば、ウクライナは対応し、同国を支援し得ると発言している。