ウクライナ、プーチンを正当なロシア大統領として認めず
6日、外務省が声明を発出した。
外務省は、7日のプーチン氏の就任式は、ロシア政権が、同国を侵略国に変え、国家の法体制を独裁体制に変貌させた人物によるほぼ終生にわたる支配が合法であるかのような幻想を、世界と自国民に対して示す、ロシア当局の試みだと指摘した。
また外務省は、3月のいわゆる「選挙」の際、ロシアが国際関係の基本となる多くの国際文書の規定に違反したことを喚起し、その中には国連憲章、国際法の原則に関する宣言、戦時における文民の保護に関するジュネーブ条約、欧州安全保障協力会議の最終文書(ヘルシンキ宣言)、数十の国連総会決議が含まれると指摘した。
同省はとりわけ、ロシアによって一時的に占領されているウクライナ領におけるいわゆる「選挙プロセス」の違法な組織や、脅迫や恐喝によって被占領地に居住する、あるいはロシア領に無理矢理連れ去られた数百万人のウクライナ国民をいわゆる「選挙」への参加強制は、一般的に受け入れられている国際法の規範・原則への重大な違反だと指摘している。
さらに、外務省は、国際機関からの警告にもかかわらず、ロシアがそのような行為を行ったことは、同国首脳陣が自らの責任を認めていないこと、そして2年以上続いており、多大な人的犠牲と破壊を生んでいる違法でいわれのない不当な対ウクライナの全面的武力侵略を止めるつもりがないことを証明しており、加えて同国はプロパガンダや印象操作に頼りつつ、有権者の参加や投票結果をウクライナへの軍事侵攻や他国への攻撃的政策の正当化に利用していると主張した。
その上で声明には、「上記を踏まえ、さらには国際刑事裁判所(ICC)がウラジーミル・プーチンの逮捕状を出していることも考慮した上で、ウクライナは、同人物をロシア連邦の民主的に選出された正当な大統領と認めるための法的根拠はないと考える」と書かれている。
同省はまた、一時的被占領下ウクライナ領におけるいわゆる「選挙」の実施の違法性と、そのロシア領内での非民主的性格と、実質的に選挙結果の正当性を否定した4月17日付欧州評議会議員総会決議第2540(2024)と4月25日付欧州議会決議第2024/2665(RSP)を想起した。
最後に、同省は、国際社会に対して、ロシアの偽選挙の結果、ロシア独裁者ウラジーミル・プーチンの正当性を認めることなく、彼による法の支配と普遍的民主的価値の破壊に対抗し続けるよう、また、欧州と世界の安全保障、平和、安定への脅威を生み出しているロシアの侵略に対抗するウクライナの人々への効果的な支援を続けるよう要請した。
なお、5月7日、ロシアの首脳プーチン氏による「就任式」が予定されている。日本の林官房長官は同就任式には、日本政府からは誰も出席しない予定だと発表している。