マレーシア航空機撃墜事件がオランダにロシア侵略の悪影響を認識させた=ブレケルマンス蘭国防相
ブレケルマンス国防相が同日のMH17撃墜事件10周年犠牲者追悼式典の前にウクルインフォルムのハーグ特派員にコメントした。
ブレケルマンス氏は、「今日は非常に感情的な日だ。なぜなら、10年前にMH17の悲劇が起きたのだから。それは当然、オランダにロシア侵略の影響と被害を認識させることにもなった。なぜなら、現在ウクライナで起きていることは何千何万の死を伴うひどいものであるからだ。しかし、ウクライナに次いで、(編集注:MH17撃墜事件により)オランダもまたロシアの侵略による多大な犠牲者を抱える国となったのだ」と発言した。
また同氏は、MH17撃墜により298名の無辜の民が死亡し、その内196名はオランダ国民だったと強調した。
その際同氏は、「約200名のオランダ人が亡くなったのだ。そして、親族と友人は、毎日その痛みと共に暮らさなければならない。私たちも国として、今もその痛みと共に毎日暮らさねばならない。そして、それが私たちが今日追悼していることだ。今日は非常に大切な日だ。何よりまず、悲劇の犠牲者の親族と友人にとって、そしてオランダにとってもだ」と発言した。
なお、マレーシア航空機撃墜事件とは、2014年7月17日、アムステルダムからクアラルンプールへ向かっていたマレーシア航空機MH17がウクライナ東部ドンバス地方上空で武装集団により撃墜され、乗客・乗員合計298名全員が死亡した事件をいう。
2016年9月、国際共同捜査チーム(JIT)は、同事件の技術捜査の結果として、同航空機が、親露武装集団支配地域から地対空ミサイルシステム「ブーク」により発射された弾頭「9M38」により撃墜されたことを判明させている。
同時に、民間調査グループ「ベリングキャット」は、MH17を撃墜した「ブーク」がロシア軍第53対空旅団発のものであることを判明させていた。ベリングキャットは、ソーシャル・メディアとオープンソース情報の独自の分析を通じて、MH17撃墜に関与した20名のロシア軍人を特定させた報告書を発表した。これら軍人の名前が写真付きで示されているこの報告書は、オランダの検察に渡されている。
2018年5月24日には、JITは、MH17を撃墜したロシアのミサイルの破片を公開しつつ、ミサイルがロシアのクルスクを拠点とするロシア軍第53対空ミサイル旅団に属するものであることが判明したと発表した。
2022年11月17日、オランダのスキポール裁判コンプレクスにて開かれたMH17便撃墜事件裁判にて、4名の被告の内、イーゴリ・ギルキン氏(ロシア国籍、ロシア連邦軍元将校)、セルゲイ・ドゥビンスキー氏(ロシア国籍、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)大佐)、レオニード・ハルチェンコ氏(ウクライナ国籍)に対して有罪判決が言い渡されている。