ウクライナ議会、ウクライナにおけるロシアの教会の活動禁止を決定
最高会議野党会派「声党」のジェレズニャク議員がテレグラム・チャンネルで報告した。
ジェレズニャク議員は、同法案は265人の議員によって採択されたと伝えた(過半数は226)。
同法は、国家と社会の安全、個人の権利と自由の保護、ウクライナにおける外国の宗教団体の活動の特別性を定めることが目的と説明されている。
また、同法により、ウクライナ領においてウクライナに対する武力侵略を行った、あるいは行っている、及び/または、ウクライナ領の一部を一時的に占領していると認められた国に位置し、さらに、直接的ないし間接的に(トップや関係機関の公の演説などで)ウクライナに対する武力侵略を支持している外国の宗教団体の活動が禁止されることが定められる。
本文には、「ロシア正教会が侵略国体制のイデオロギー面の延長であり、ロシア連邦と『ルスキー・ミール(ロシア/ルーシ世界)』イデオロギーの名の下で行われている戦争犯罪と人道に対する罪の共犯者であることを考慮した上で、ロシア正教会のウクライナでの活動は禁止される」と書かれている。
また同法では、ウクライナで活動が禁止される外国の宗教団体と提携している宗教団体の活動は停止されることが想定されている。
さらに、ウクライナで活動が禁止される外国の宗教団体との宗教コミュニティやその他の法人などの宗教団体の関係、繋がり、コミュニケーションは、認められないという。
加えて、ウクライナで活動する宗教団体は、ロシア連邦内にて管理センターを有することができなくなる。
また、ある宗教団体のロシアとの繋がり、提携の存在や、「ルスキー・ミール」イデオロギーの拡散の事実に関する調査を行う、行政から独立した委員会が設立されるという。
その調査結果が出たら、国家民族政策・信仰の自由庁がその結果を分析し、違法行為の存在が出た場合は、命令を下すことになる。
命令が出された宗教団体は、侵略国ロシアとの関係を断ち切らねばならないが、2か月間は不服申し立てを行うことが可能となる。
60日間以内にその宗教団体と侵略国ロシアとの関係が断ち切られなかった場合、国家民族政策・信仰の自由庁は裁判所に提訴を行うことになる。
これに先立ち、2023年1月、ウクライナ政府が最高会議にウクライナにおける宗教組織の禁止に関する法案第8371を登録していた。同法案は、ウクライナ正教会モスクワ聖庁の活動を禁止する可能性がある内容として知られている。
同年10月19日、最高会議は、同法案を第一読会で採択。
2024年8月17日、ゼレンシキー大統領は、フェイスブック・アカウントにて、全ウクライナ教会・宗教団体評議会と会談を行い、ウクライナ領内におけるウクライナ正教会モスクワ聖庁の活動禁止の法案への支持を得たと報告していた。
今年4月にウクライナで実施された世論調査の結果では、83%の回答者が国家が何らかの形でウクライナ正教会モスクワ聖庁の活動に介入すべき(禁止または監視)であると考えていることがわかっている。
2022年5月12日、ウクライナ正教会(独立系)はウクライナの宗教団体が侵略国に中心地のある宗教団体に従属することを法律で禁止する必要性への支持を表明し、最高会議に関連の政府提出法案の支持を要請していた。