ゼレンシキー宇大統領、政権内の汚職スキャンダルを受け、国家安保会議を招集
ゼレンシキー大統領が、同日の「医療社会専門委員会」問題に関する国家安全保障国防会議(NSDC)会合の後、国民向け動画メッセージで発言した。
ゼレンシキー氏は、「それ(編集注:偽の障害者証明書の受け取り)は検察だけではない。明らかに無根拠な障害(編集注:証明書発給)の数百の同様の事例が、税関、税務、年金基金、地元行政府の中で発覚している。それらは全て丹念かつ迅速に明らかにせねばならない。医療社会専門委員会システムは、解体されねばならない」と発言した。
また同氏は、現実的かつ体系的な変化のためには、障害者認定に関する作業の全てを完全にデジタル化する必要があると強調し、デジタル移行省と国防省のデジタル・チームには関連の改革を実行する担当者がいると発言した。
そして同氏は、「問題は、幹部がコネを使って、自らに障害者認定を行っていることだけではない。さらには、戦地をはじめ、本当の障害を得た人々が、しばしば障害者地位を得られず、公正な支払いを得られていないのだ。それを正すために残された政府の時間は、多くない」と指摘した。
加えて同氏は、今回の政権中央機関、医療社会専門委員会の垂直構造の状況を受けて、個人が責任を取らねばならず、人事決定が下されねばならないと強調した。
また同氏は、NSDCが22日に下した決定は、障害者証明を自分のために発給させたすべての幹部の年金やその他の支払いへの全面的監査の実施を定めるものだと伝えた。
さらに同氏は、NSDC会合では、保安庁(SBU)長官と内務相の本件に関する調査・捜査に関する報告もあったと述べた。同時に同氏は、「残念ながら、保健相と社会政策相からの非常に説得力のない報告もあった」と発言した。また同氏は、「全ての地方自治体も調べねばならない」と強調した。
同日、コースチン検事総長は、テレグラム・チャンネルにて、辞意を表明した。
コースチン氏は、「障害者証明付与に関する全ての不当な決定、関連年金、その他支払いの無効化だけでなく、明確な法的・組織的変更だけでもなく、政治的責任を含む、個人の責任もなければならないというゼレンシキー大統領の立場は完全に正しいと思う。私は、大統領と最高会議の信頼に感謝している。しかし、現状、私は検事総長職からの解任を表明することが正しいと考えている」と伝えた。
その他、マリュクSBU長官は、NSDC会合の総括として、SBUはその他法執行機関とともに、医療社会専門委員会内の大規模な汚職スキームを摘発したと発表した。同氏は、SBUによれば、2024年に同委員会の64人の幹部が犯罪実行容疑を伝達されており、さらに9名がすでに有罪判決を受けていると伝えた。
10月5日、国家捜査局の捜査間が、フメリニツィキー州医療社会専門センターの幹部を不当な蓄財の容疑で拘束していた。
医療社会専門委員会幹部の執務室からは、10万ドルの現金が発見され、さらに複数の改ざんされた文書、偽の診断書とともに徴兵逃れの人物のリストも見つかった。幹部やその親族の自宅からは、約524万4000ドル、約30万ユーロ、500万フリヴニャ以上の現金とブランド物のアクセサリー・貴金属も発見された。
オンラインニュースサイト「ツェンゾール」は、10月15日に、フメリニツィキー州のほぼ全ての検察が、医療社会専門委員会のテチャーナ・クルパ主任医師の決定により、第2種障害者証明を受けていると報じていた。さらに、証明を受けた人物は、長年にわたり国家から、障害者年金を受け取り続けていたという。同メディアによれば、フメリニツィキー州検察のオレクシー・オリーニク州検察長他49名の検察官がこの障害者証明を受けていたという。
その後、コースチン検事総長は、フメリニツィキー州の50人の検察官による過去数年間の障害者証明の受け取りに関する機関内調査の実施を命じていた。