ウクライナに中立を強制することは国際システムを破壊することになる=フィンランド外相
ロイター通信がヴァルトネン外相の発言を伝えた。
ヴァルトネン氏は、パリ平和フォーラムの会場内で、「ええ、私はそれ(編集注:ウクライナのフィンランド化)に反対だ。直視しようではないか。ウクライナは中立だった時にロシアに攻撃されたのだ」と発言した。
またヴァルトネン氏は、ロシアの対ウクライナ戦争の文脈でしばしば想起されているいわゆる「フィンランド化」と呼ばれるモデルを適用することへの反対を表明し、「それは、私がウクライナに強制したいような何かでは決してない。間違いなく、最初の代替としてのものではない」と発言した。
さらに同氏は、ロシアが和平合意に同意したとしても、ロシアを信じられるのかという点に疑問を呈した。同氏は、ウクライナの意志に反して、同国に条件を飲ませた場合、それは国際システムを破壊することになるとの見方を示した。
その際同氏は、「私は、どのような欧州の国ないしは米国が、ウクライナの頭越しに協議を始めるという状況を避けたいと本当に思っている。より大きな国がただ領土を奪うということはあってはならないが、他国の主権を著しく弱めてもならない」と強調した。
なお、フィンランドは、数世紀にわたりロシア帝国の支配を受けていたが、1917年に独立。その後、1939年にソ連の侵攻を受けた。第二次世界大戦後、フィンランドは、ソ連、その後はロシアとの間で友好的・融和的な関係を維持することを余儀なくされ、独立を維持するために中立の立場を取らざるを得なくなっていた。この戦術は「フィンランド化」という名で知られている。
トランプ米次期大統領が現在の戦争のできるだけ早期の終結を望む中、複数の同盟国は、ウクライナが中立地位を強制される可能性を懸念している。ロシアもまた、ウクライナに対して平和のために中立を維持するよう繰り返し要求してきた。
なお、ロシアによるウクライナへの全面侵攻が始まって以降、フィンランドとスウェーデンは、長年の軍事的非同盟政策を破棄し、北大西洋条約機構(NATO)へと加盟している。
写真:valtioneuvosto.fi