ウクライナ国民の過去1年の変化 軍への信頼97%
レイティング社が複数回にわたって実施した世論調査結果を発表した。
発表には、「ウクライナは歴史における自らの役割を再考しながら、困難な自己発展の時期を経験している。概して、戦争は国民の国家機関に対する信頼を向上させている。ウクライナ軍への信頼は65%から97%に、大統領への信頼は36%から90%に上昇した」と書かれている。
同調査では、社会全体の「自己評価」の変化が見られる。回答者は、ウクライナ自体に対する評価を7段階評価中4.6と回答。これは2021年の3.0と比べて約1.5倍に肯定的評価が高まっている。また、10年後のウクライナがどうなるかと質問では、平均回答は6.4となり、さらに希望的展望を抱いていることがわかった。
「ウクライナについて考えている時に感じる感情」についての設問では、最も多かったのが「誇り」(75%)で、2021年時点の設問時の34%から大幅に高まった。次に多かったのは「悲しみ」の29%だが、これは2021年時点の37%より下がっている。
また、自己アイデンティティにも変化が見られる。回答者の圧倒的多数は、自らを「ウクライナ国民」と回答(2021年時点の回答は76%だったが、全面侵略開始後は94%に上昇)。同時に、「欧州人」との回答も、約2倍に増えた。
ウクライナ語使用については、22%の回答者が過去1年でウクライナ語をより頻繁に使うようになったと答えた。
その他、2022年を総括した上での各自の財政状況について尋ねると、約3分の2の回答者が自らの財政状況が悪化したと回答、約3分の1が変化がないと答えた。
同時に、38%が「将来に確信がある」と回答。同回答は、2021年年末時点の調査時では14%だった。ウクライナにとっての優先課題を問うと、企業の復興、雇用の再生、破壊されたものの再建への回答が多く、社会支援よりも仕事を求める様子がうかがえる。
今回の世論調査は、レイティング社が、クリミアとドンバス地方の被占領地、及び調査時点でウクライナの携帯電話通信のない地域を除くウクライナ全州で18歳以上のウクライナ国民を対象に実施したもの。調査は、3段階を経て行われたとあり、CATI方式(Computer Assisted Telephone Interviewing)でランダム抽出で1000人を対象に2023年2月6、7日に実施(理論的最大誤差は±3.1%)、CAWI方式(Computer Assisted Web Interviewing)でのランダム抽出で600人を対象に2023年2月10〜13日に実施、並びに23の自治体の代表者26人とのオンラインディスカッションを2023年2月4、5日に実施したと説明されている。