78%のウクライナ国民「汚職問題の責任者は大統領」
11日、ウクライナの民主イニシアティブ基金のブルコウシキー常務理事がウクルインフォルムでの記者会見「市民による汚職の脅威の受け止め方 政権への評価と戦時下の変化への要求」の際に世論調査結果を発表した。
ブルコウシキー氏は、現在汚職に対する懸念が高まっており、「現在『汚職』問題が、市民が常に懸念してきた『価格』問題すらも超えている」と発言した。
発表された、2023年7月初頭に実施された世論調査の結果によれば、78%の回答者が、政府や軍行政府における汚職の直接の責任はウクライナ大統領が負っているとの主張に「そう思う」と回答。「そう思わない」との回答は、18%だけだったという。
この点につき、ブルコウシキー氏は、「一方では、これは警告であるが、他方では、大きな奨励であり、『行動せよ、私たちはあなた(大統領)を必ず支える、誰が汚職犯罪者であろうとも。たとえそれが大きなコネクションを持つ元オリガルヒや、大金を持つ人々であろうとも』という大きな信頼でもある。つまり、市民の信頼は常に、汚職と闘う大統領側にあり続けるということだ」と解説した。
調査結果の詳細を見ると、回答者の年齢層の高い方が若年層よりも大統領に対する要求が高いことがわかっている。18〜29際の回答者の間では、約70%が「大統領が汚職に対する責任を負う」との主張に同意するのに対して、60歳以上の回答者の間では、この数字が81%となっている。所得別・地域別の回答に大きな差は見られていない。
また、8月の世論調査では、52.5%の回答者が、現在汚職で政権を批判するのは、国内情勢を不安定にし、外国パートナーの信頼を減らすため、公での批判は通常より減らした方が良いとの考えに「そうは思わない」と回答したという。
7月の調査時の、ウクライナの企業活動にとって現在障害となっているのは何だと思うか、との設問で、最も多かった回答が「汚職」で約47%。これに続いて、「戦争による破壊」が約37%、不適切な税制が36%、国家からの脆弱な支援が36%であった。
その他、キーウ国際社会学研究所のフルシェツィキー所長は、回答者の大半が医療分野の汚職に注意を向けたと伝え、「同分野では、人々は非常に敏感だ。彼らはもっと正義を求めている」と述べた。
ブルコウシキー氏はまた、秋にはこの否定的な現象への見方が変わる可能性を指摘した。同氏は、「ロシアが集中的な攻撃をすると、治安問題が上位に上る。その際人々は、治安が第一で、汚職との闘いは二の次、だと言うだろう。そして、大切なことは、政権がそれを白紙委任状だと受け止めないこと、それでもってテーマを終わらせ、どのような批判も抑えつけられると思わないことだ。なぜなら、国の防衛も、支援をもらうための協議実施も、汚職の根絶も、全てまとめて行う必要があるからである。私たちにはその実現のために全てのものがある。社会からの圧力、社会のサポートだ」と強調した。
今回の記者会見時には、民主イニシアティブ基金がラズムコウ・センターとキーウ国際社会学研究所とともに7月と8月に実施した2つの世論調査の結果が発表された。8月実施分は、8月9日から15日にかけて、民主イニシアティブ基金がラズムコウ・センターと共同実施(政府管理地域にて実施。回答者2019人。オランダ大使館が支援)。7月実施文は、7月3日から17日にかけて、民主イニシアティブ基金がキーウ国際社会学研究所と共同実施(政府管理地域にて実施。回答者2011人。プラハ市民社会センターが支援)。
今回の世論調査のその他の結果は、民主イニシアティブ基金のウェブサイト上に公開されている。