マリウポリから露に連れ去られていた青年、ウクライナへ帰還 カタールとユニセフが支援
ウクライナのイェルマーク大統領府長官がテレグラム・チャンネルにて報告した。
イェルマーク氏は、「私たちのチームがボフダン・イェルマーク氏を家へ戻すことに成功した。被占領下マリウポリからモスクワ州へロシアが連れ去っていたウクライナの青年だ」と書き込んだ。
また同氏は、19日、イェルモヒン氏は18歳の誕生日を迎えたと伝えた。今回の帰還は、ゼレンシキー宇大統領の確定した行動計画「ブリング・キッズ・バックUA」の一環で行われたと補足した。
さらに同氏は、「私たちはボフダンとずっとコミュニケーションを取っていて、彼はもうウクライナ国内で、彼は自分の姉妹と一緒だ。これは、大統領府チームとドミトロー・ルビネツ宇最高会議(国会)人権問題全権の調整した作業である」と伝えた。
その他同氏は、カタールとユニセフにも今回の帰還実現につき謝意を伝えた。
また同日、ルビネツ人権問題全権は、テレビ番組「統一ニュース」に出演し、今回の帰還につき説明した。
ルビネツ氏は、イェルモヒン氏との最初のやり取りの際に、ロシアからの帰還のために、仲介者が活動していることを伝えたと明かした。
そして同氏は、「当時、私たちはカタールについては公にしていなかった。しかし、ボフダンに対しては、私から、カタールが本件を扱っていくと伝えられていた。帰還には、多くの人が関わった。まず、私たちはユニセフを関与させた。私は、多くの詳細を述べることはできないが、しかし、カタールと国際機関のプレゼンスが、私たちがボフダンを取り戻すことに役立ったとは言うことができる」と発言した。
さらに同氏は、ユニセフは、検証、イェルモヒン氏の滞在場所の確定、ロシア側への文書の引き渡しにおいて支援を行ったと伝えた。
その上で同氏は、「これが色々な国で様々なミッションを抱えるユニセフの職員が関わった、最初のケースであり、間違いなく最後のケースではないものだと述べるだけのあらゆる根拠がある。そして私は、それがウクライナ児童の帰還数を増やすことになることを期待している」と発言した。
同時に同氏は、イェルモヒン氏の帰還直前に報道機関が活発化したことは、帰還に役立つことはなく、むしろ否定的に作用したと指摘した。同氏は、「なぜなら、ロシア側は気にし出し、『私たちはまだ帰還させていないが、あなた方はすでに、彼がいかに酷い扱いを受けたか述べなければならないことを公に見せている』と言い出したのだ。今後、私はそれを止めたいと思う。私たちは、公開性が必要な時にはそれを述べていく。必要ない時にも、そのことについて述べる。これは、ウクライナ児童帰還問題全てに関係することだ」と強調した。
これに先立ち、ウクライナ東部マリウポリからロシア領に連れ去られた17歳のウクライナ国民で孤児のボフダン・イェルモヒン氏が、動画にてゼレンシキー宇大統領に対して、ウクライナへの帰国支援を要請していた。
また7日、イェルモヒン氏の弁護士ボブロウシカ氏は、ウクルインフォルムの記者に対して、マリウポリからロシアに連れ去られたイェルモヒン氏が11月19日に18歳を迎えるところ、ロシア軍事委員会の召集令状を渡されたと伝えていた。
同氏によれば、イェルモヒン氏は、2022年7月以降、複数の手段でウクライナへの帰国を試みたけれど、うまくいかず、他方で、ロシア政権は同氏にロシア国籍証明書を発給したという。
2023年4月19日、ボブロウシカ氏は、米国議会の委員会の1つでスピーチを行い、イェルモヒン氏の問題を報告。
今年7月、ウクライナの記者たちが、ロシア軍が31人のウクライナ児童をロシアに連れ去り、「新しい家族」の「養子」にしたことを報告する動画「スピソク31」を公開。その31人の中には、ボフダン・イェルモヒン氏の名前も入っていた。
なお、国際刑事裁判所(ICC)は、2023年3月17日、プーチン露大統領とリヴォヴァ=ベロヴァ児童問題露大統領全権には、少なくとも2022年2月24日以降、ウクライナの占領地から、子どもをはじめ、住民の不法追放と不法移送という戦争犯罪の容疑があるとし、両名の逮捕状を発出している。