ウクライナ記憶研究所 第二次世界大戦特集の新しい動画を公開

動画

ウクライナ史研究を行うウクライナ国家記憶研究所は、5月9日の第二次世界大戦におけるナチズムに対する勝利の日に合わせて、現在対ウクライナ侵攻を続けるロシア連邦と第二次世界対戦時のソヴィエト連邦が喧伝した「ウクライナの解放」という主張に関連した新しい特集動画を公開した。

ウクライナ国家記憶研究所広報室が伝えた

動画では、「ロシアは、ウクライナへの侵攻を空想上のナチス主義者からの解放だと主張し、その侵攻によりすでに民間人に何千もの犠牲者が生じている。『解放』というのは、ソヴィエト神話を起源に持つ、ロシア占領者の欺瞞のスローガンである。というのも、1943〜1944年当時の赤軍の帰還もまた『ウクライナの解放』と呼ばれていたからである」と説明されている。

同時に、研究所は、実際にはナチス占領者が追放された後もウクライナが自由を得ることはなく、ウクライナは別の全体主義体制の支配下に入れられただけであり、その支配が数百万人の犠牲をもたらしたことを指摘した。また、ナチスの追放の際には、スターリン体制による大規模な犯罪的が伴ったとし、「黒い上着の兵(чорносвитники)」と呼ばれる「解放」された土地から地元住民が拙速に動員され、準備も装備も、しばしば武器すらないままに最も危険な前線の戦闘に送られていたと説明されている。

さらに、研究所は、ウクライナのソ連兵はしばしば、ウクライナの民族解放運動を行う地下組織との戦闘を強制されていたと指摘し、それはウクライナ人同氏の「兄弟戦争」を意味したと指摘した。そして、その後は、大規模な弾圧、浄化、もう一つの人工的飢餓(1946〜1947年)、何十万人の人々の追放、数十年の苦難の日々、欠乏、嘘、プロパガンダが続いたと説明され、「それらがモスクワの『解放』がウクライナにもたらしたものである」と指摘されている。

研究所は、「ウクライナの人々が真の自由を得たのは、1991年8月24日に独立を獲得した時である。そしてそれがモスクワに平穏をもたらしていないのだ。プーチンの『解放者』たちは、ウクライナ人をウクライナから『解放』したがっている。そのためには、彼らは、女性のことも児童のことも気にかけない。殺し、強姦し、略奪している。要は、いつもと同じことをしているのである」と伝えた。

なお、ウクライナ国家記憶研究所は、「戦争と神話」と題して、第二次世界大戦関連のソ連時代の「神話」(編集注:政権の都合に合わせて事実の歪曲されたプロパガンダ歴史ナラティブの意)を解説する特集動画シリーズを公開している(一部は英語版あり)。「戦争と神話」動画シリーズの目的は、ソ連歴史神話の解体と、現在の侵略国ロシアが政治・プロパガンダ目的の中で、第二次世界大戦の歴史を利用することの妨害にあると説明されている。